怒りにおそく—ヨセフ物語【創世記28章15節】                

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憎まれたヨセフ

ヨセフは12人兄弟のうち、11番目の子でした。父親ヤコブが高齢になってから生まれたので、父ヤコブは誰よりもヨセフを可愛いがりました。そのため10人のお兄さん達は、全く面白くありません。ヨセフをとても憎んでいました。

その憎しみは、なみなみならぬものでした。彼らは、父親の使いできたヨセフを穴に投げ込み、殺そうとまでするのです。

しかし、寸でのところで思いとどまった彼らは、ヨセフを奴隷商人に売り飛ばしていくのでした。

この突如として、身に降りかかった苦難をヨセフが乗り越えられたのは、父ヤコブの物語を思い出したからかもしれません。

ヨセフの父ヤコブ

聖書の神さまを信じる人々は、すべてにおいて完璧な人間であったとは、聖書は書いていません。信仰の父と言われたアブラハム、その子イサク、その孫であったヤコブ、彼らも皆、弱さとバランスを欠いた親でした。

ヨセフの父親ヤコブは、若い頃、身勝手な方法で家督を継ぐために、父親イサクと兄を騙し、罪を犯してしまいました。

そのことは兄を激怒させ、命を狙われることになり、逃亡生活を余儀なくされました。そしてヤコブは遠く家族を離れ、石を枕に野宿しながら、親戚の家をたよって長い旅をしていました。

その夜、ヤコブはこれから先、ずっと一人淋しく、家族や神さまとの関係が一切断たれて、誰からも愛されない孤独の人生を歩むのだろうか、と不安と絶望の思いに駆られながら、眠りにつきました。しかし、なんと夢の中で神さまはヤコブを絶対に見捨てることはないと言われました。創世記28章15節には、このように書かれています。

「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない」創世記28章15節

父ヤコブは、これを機に知恵と力が与えられ、20年以上の試練の人生を耐えることが出来たのです。

ヨセフが小さかった頃、父ヤコブの興味深い、波乱万丈のストーリーを、よく聞かされていたに違いありません。

そのため、ヨセフはエジプトの奴隷として売られてしまったときにも、父ヤコブの神さまが自分の神さまとなって必ず故郷に連れ戻してくれることを信じ、奴隷生活を乗り越えることができたのではないでしょうか。

聖書の引用は、特記がない限り日本聖書協会新共同訳を使用しています。
そのほかの訳の場合はカッコがきで記載しており、以下からの引用となります。
『新共同訳』 ©︎共同訳聖書実行委員会 ©︎日本聖書協会
『口語訳』 ©︎日本聖書協会 
『新改訳2017』 ©2017 新日本聖書刊行会

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