忘れられたヨセフ
創世記41章1節の始まりには、「2年ののち、ファラオは夢を見た。」と書かれています。
ヨセフは牢獄で給仕役の長の夢を解き明かしてあげたにもかかわらず、2年間ずっと忘れ去られて、牢獄から助け出されることはありませんでした。
しかし、2年後、千載一隅(せんざいいちぐう)のチャンスがヨセフに舞い込んできたのです。そのきっかけとなったのは、ヨセフが信じている聖書の神さまがなんと、エジプトの王、ファラオに不思議な夢を見せたのです。
ファラオの夢
そのファラオが見た夢は、このようなものでした。
ファラオがナイル川のほとりに立っていると、7頭の毛並みのいい、またよく肥えた雌の牛が川から上がってきて、草を食べ始めました。
するとその後、醜い痩せた7頭の雌の牛が川から上がってきて、先に上がってきたよく肥えた雌の牛を食い尽くしてしまい、そこで目が覚める、という夢でした。
また、さらにファラオは、もう一つ夢を見ました。
よく実った7つの穂が一本の茎から出てくるのですが、その後、実の入っていない干からびた穂が7つ生えてきて、実の入った7つの穂を飲み込んでしまい、そこで目が覚める、というものでした。
ファラオはこの不思議な夢に強い不安を感じます。エジプト中の魔術師や夢解きの学者たちを呼び集めますが、これらの夢を解き明かすことが出来る者はいませんでした。
それは、神さまが見せた夢だったので、神さまの力なくして解き明かすことは出来なかったのです。
思い出されたヨセフ
そこで、かつて牢獄でヨセフに不思議な夢を解き明かしてもらった給仕役の長が、ヨセフのこと思い出し、彼なら解き明かせるに違いないとファラオに申し出でたのです。
旧約聖書の『コヘレトの言葉』3章11節、この聖句は、口語訳聖書ではこのようにかかれていいます。
「神のなされることは、皆その時にかなって美しい」
ヨセフが牢獄から出ることができた時が、当時のすべての人にとっては、ベストな時、すばらしい時だったのです。
このファラオの夢を解き明かすことができたので、彼は牢獄から救い出されることになりました。