ファラオの夢を解き明かすヨセフ
エジプト中でだれもファラオの夢を解き明かすことができなかったのですが、ファラオの給仕役の長が以前、牢獄で自分の見た夢を解き明かし、そこから救われた経験を、やっと2年ぶりに思い出しました。そして、なんとヨセフは、牢獄から直接ファラオ王のもとに呼ばれました。
そして、ファラオの前に出たヨセフに対してこのように語りました。
「お前は夢を解くことができるそうだな……」
するとヨセフは王様にこのように答えました。
「わたしではありません。神が幸いについて告げられるのです」
ヨセフは自分の能力をファラオにひけらかすのではなく、あくまでも神さまだけが夢を解き明かすことができるお方であるということを訴えました。自分の功績ではなく、神さまの栄光を求めたのです。
変えられたヨセフ
この頃、ヨセフは30歳になっていたと聖書は書いてあります。
エジプトへ奴隷として売られた17歳頃から13年の月日がながれ、青春の一番大事な時期を奴隷として、また牢獄で囚人として生活したことによって、彼の人生は大きく変わったのでした。
エジプトの奴隷となる前は、お兄さんたちの気持ちをほとんど理解できずに、やりたい放題のヨセフでしたが、エジプトでの厳しい生活によって、彼の自我が砕かれ、慎み深さと神さまへの深い信仰がそなわっていたのです。
そして、また、ヨセフは苦しむ者の気持ちを汲み取ることのできる哀れみ深い人物へと、勇敢で沈着な大人に変わっていたのです。
そして、ヨセフはファラオの見た夢を解き明かしました。夢の内容の意味は、このようなものです。
7年間は大豊作となり、蓄え切れないほどの食料を備蓄することができる。しかし、その後、次の7年間はかつてないほどの大飢饉が世界中を襲うことになる。
この夢の意味が理解できたファラオは非常に喜んだのです。そして、ヨセフは牢獄から召し出されることになりました。
エジプトの王ファラオの夢を解き明かしたヨセフはファラオから驚くような言葉を耳にします。
それでは、ここで、聖書の創世記37章38節から40節までを読んでみたいとおもいます。
41:38ファラオは家来たちに、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と言い、
41:39ヨセフの方を向いてファラオは言った。「神がそういうことをみな示されたからには、お前ほど聡明で知恵のある者は、ほかにはいないであろう。
41:40お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。ただ王位にあるということでだけ、わたしはお前の上に立つ。」
逆転の機会
牢獄から連れだされて、ファラオの前に連れてこられ、夢を解き明かし、そして7年後にせまる大飢饉に備えるための対策を進言したことによって、ヨセフの人生に突然、大きな光に照らされました。
なんと、当時世界に最大の影響を与えていたエジプトの国でファラオに次いで、権力のある地位、ナンバーツーの座が与えられたのです。エジプトの国を治める宰相(さいしょう)、つまり総理大臣ような立場となったのです。囚人から総理大臣へ逆転の人生、一夜にしてエジプトの国で権力、富と名声を得ることになりました。
しかし、ヨセフはそのような地位に甘んじることなく、以前と全く変わらずに、神さまと共に生き、自分に与えられている役目を忠実に従ったのです。
それは、彼が牢獄での最悪の生活であきらめずに神さまのみ言葉に忠実であったからです。
だからこそ、大きな道がひらかれたのです。
また、神さまはヨセフに大きな夢を実現させるために様々な厳しい道を歩ませたのですが、その獄中での鍛錬によって、政治家として手腕を大いに発揮することとなったのです。
最後に聖書のみ言葉をご紹介します。
新約聖書ルカによる福音書16章10節
「ごく小さな事に忠実な者は、大きな事にも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は、大きな事にも不忠実である。」