ボヘミア宗教改革 フスとジェロームの試練【リニエージ】シーズン1 #13

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フスの殉教

1415年、ここドイツでコンスタンツ公会議が行われました。そこでは三つの重要事項が討議されました。

一番目は、ローマ教皇の分裂に関する討議です。

当時、教皇は三人も存在し、それぞれが自分こそ真の教皇だと主張している状況がありました。この公会議で議論された結果、最終的に分裂は解決し、三人の教皇の後任が任命されました。

同じ公会議で、ジョン・ウィクリフの著作が異端であるという宣言がなされたのです。埋葬されたジョン・ウィクリフの骨を掘り返し、完全に焼却するようにとの命令がくだされたのでした。

またこのとき、フスも公会議に召喚されました。彼は自分の信念を貫くために召喚に応じました。

コンスタンツに出発するとき、皇帝や教皇から安全な航海が保証されていましたが、フスは二度と友人たちに再会することはないと、彼らに惜別の言葉を残しました。

コンスタンツに到着して間もなく、フスは教皇と枢機卿の命により投獄されてしまうのでした。

当時、フスがコンスタンツにいるあいだに投獄されていた建物の一つは、現在、立派なホテルになっています。

フスの裁判はミュンヘンのコンスタンツで行われ、彼は24番通路に座っていました。

彼は信条を撤回するかと尋問されましたが、撤回するよりは死を選ぶほうがいいと答えたのです。彼は投獄され、ふたたび裁判に引き出されます。最後の裁判のとき、フスは皇帝を見つめながら宣言しました。

わたしは自らの意志でここに旅をし、皇帝の保証のもとでここに座ったのだと。

会衆の視線が皇帝ジグムントに集まると、彼の顔は恥で真っ赤に染まりました。

ジェロームの葛藤

フスがコンスタンツに旅立つとき、ジェロームはフスの手を取って言いました。

「君に何かあれば、僕はすぐに君を助けに行く」と。

フスの投獄を聞いた彼は、安全な航路がなかったにも関わらず、急いでコンスタンツに向けて出発しました。しかし、到着してすぐ、自分にできることは何もないと悟ったジェロームはプラハに引き返すことになるのです。

しかし、その道中、彼もまた捕らえられてコンスタンツに連れ戻されてしまいます。すぐに彼を殺そうという人もいましたが、ジェロームは牢獄に入れられました。

そこで彼は深刻な飢餓に悩まされることになりました。彼らはフスの死だけでは不十分だと考え、ジェロームを生かしておきたかったのです。そこでジェロームにも信条を撤回を迫りました。

1年間投獄され、ひどい目に遭った彼は、疑心暗鬼に陥り、ついにはウィクリフの教えを捨て、フスの教えすらも捨ててしまいました。そして、カトリックの信仰を守ることを誓ったのです。

彼を処刑するのか、それとも公に忠誠を宣言させるのか、その論争が渦巻く中、ジェロームはふたたび裁判の場に呼び出されました。

しかし、ここでジェロームは前言を撤回するのです。彼は議会での演説の許可を求めましたが、拒否されてしまいました。ジェロームは立ちあがり、フスを支持することを再び誓いました。

そして彼はこう言ったのです。

「わたしの師であり、友人であり、聖なる殉教者であるウィクリフやフスにくだされた不条理な判決を認めたとき、この致命的な場所で私が犯した罪ほど、心に重くのしかかり、痛烈な自責の念を抱かせるものはありませんでした。心から告白します。
死の恐怖に怯えた私は、彼らの教義を否定しました。今、ここに悔い改めの祈りをささげます。全能の神よ、私の罪をお赦しください。この罪はすべての罪の中で最も重いものです」

わたしたちへのメッセージ

フスとジェロームの物語で学ぶことができるのは、ジェロームは命の危険から信条を離れましたが、再び戻ってきました。

わたしたちも、主と歩む中で挫折することもあるでしょう。あのときこうすればよかったと後悔することだってあるかもしれません。信仰深いジェロームも、一度は神から離れてしまいましたが、最後には主に立ち返ったのです。

わたしたちはいつでも神に立ち返ることができます。たとえ倒れたとしても、大切なのは、あなたが立ち上がり、神との関係を取り戻すことです。

あなたが神から離れてしまっているなら、今こそ、神のもとに立ち返るチャンスかもしれません。

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