ノアの方舟
聖書に登場する人物を紹介するシリーズの第7回目は、ノアです。
聖書を読んだことのない日本人でも、ノアの箱舟という言葉を聞いたことのある人は多いはずです。
全世界を覆いつくす洪水が起こった時代のことを聖書はこのように記録しています。
時に世は神の前に乱れて、暴虐が地に満ちた。神が地を見られると、それは乱れていた。すべての人が地の上でその道を乱したからである。創世記6:11,12
神は洪水によってこの悪の世界に正しい裁きを与えることを決意されました。しかし神は、正しく生きようとしているノアに心を留められました。神は洪水の計画をノアに打ち明けると共に、巨大な箱舟を造るように命じられます。
こうしてノアとその家族は箱舟作りに入るわけですが、同時にノアは、罪を悔い改めて神に立ち返らなければ神の裁きが下ることを人々に伝えました。
しかし、当時の人々は山の上に船を造るなんてばかばかしいとノアをあざけり、結局、箱舟に入ることをせず、洪水によって滅ぼされてしまったのです。

沈黙のノア
興味深いことに、聖書には洪水が終わり新しい大地が広がるまで、ノアがしゃべった言葉は一言も書かれていません。
嵐の前の静けさの中で、山の上に巨大な箱舟を造ることに何の疑問も持たなかったのでしょうか。人々からののしられながら箱舟を造るとき、自分の人生を呪わなかったのでしょうか。
猛威を振るう嵐の中で命の危険を感じ、パニックに陥らなかったのでしょうか。洪水が終わった時、崩壊した世界を目の前に、今後の人生の不安を感じなかったのでしょうか。
もし現代のようなワイドショーのレポーターがいたら、息つく間もなくいろんな質問をノアに浴びせかけたことでしょう。
でもノアの答えはきっとこうです。「静かに! 神様の声が聞こえなくなる!」
ノアはひたすら神様の語りかける声に耳を傾け、その声によって将来の希望を見いだしていたのです。ノアに語りかけられた神は今も聖書を通して私たちに希望の言葉を語り続けておられます。