ロトとその妻【聖書人物伝】#12

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アブラハムとの別れ、そして繁栄都市ソドムへ

ロトは信仰の父と呼ばれた叔父アブラハムと共に暮らし、共に羊を飼っていました。アブラハムの信仰の影響を受け、彼自身も聖書の中で義人と呼ばれるほどでした。しかしあるとき、牧草のことで問題が起こると、平和を愛するアブラハムは、争いを起こさないように別れて暮らすことを提案します。そしてロトに自分の行く先を自由に選ばせました。この時、ロトはヨルダンの低地を選びました。そこには、繫栄したソドムやゴモラといった大都市がありました。ロトは、快楽とこの世の利益を求めて、アブラハムと別れ、家族と共に東に向かいました。

創世記19章1節を見ますと、「ロトはソドムの門にすわっていた」とあります。門は権力者が座る場所ですから、彼はソドムの街の市長となっていたようです。ロトの妻も、それまでは遊牧民のただの妻であったのに、一躍、繁栄を誇る大都市ソドムのファーストレディーになったのですから、彼女の世俗欲は一気に満たされたことでしょう。しかしそこは、道徳的に腐敗し、罪に満ちた淫蕩を極めた都市でした。

塩の柱となったロトの妻

そしてついに、神はこの罪に満ちたソドムを滅ぼすことを決められました。その滅亡の日が迫った時、ロトの家に天使たちによる命令が厳かに伝えられました。「うしろをふりかえって見てはならない」「山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。しかし、ロトの妻はこの条件を守ることができませんでした。彼女はこの世の財産や快楽に執着して、後ろ髪を引かれるような思いでソドムの町を振り返ってしまいました。その瞬間、彼女は塩の柱になってしまったのです。彼女は火と硫黄とによって滅ぼされたソドムの町と運命を共にしたのです。

イエス・キリストは、この世界の終末に対する警告として、「ロトの妻のことを思い出しなさい」と言われました。私たちもまた滅びゆくものに心を寄せて、自らの滅亡を招いてしまうことがないように、心を常に神に向けたいと思います。

聖書の引用は、特記がない限り日本聖書協会新共同訳を使用しています。
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『口語訳』 ©︎日本聖書協会 
『新改訳2017』 ©2017 新日本聖書刊行会

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