徴税人ザアカイとはどんな人?|聖書の登場人物

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この記事はこんな人におすすめ!
・徴税人の仕事について知りたい
・ザアカイの物語のあらすじが知りたい
・ザアカイのその後が知りたい

聖書でたまに目にする「徴税人」。どんな職業か知っていますか?

聖書に登場する有名な徴税人ザアカイの物語から、見てみましょう!

目次

ザアカイは何をした人?名前の意味は?

ザアカイは、徴税人のリーダーでしたが、イエス・キリストと出会い、人生が変わりました。

「ザアカイ」はヘブライ語で「清い」「罪がない」「正しい」などを意味する単語「ザカイ」に由来しています1

ザアカイの物語が出てくる聖書箇所

ルカによる福音書19章1ー10節

徴税人(取税人)はどんな仕事?

古代のお金を集金しているイメージ画像

聖書では「徴税人(取税人)」と表記されている徴税請負人は、5年分の徴税権を競売によって国家から先に買い取り、徴税を行う人のことです。

5年分の徴税権を買い取らなければならないため、この仕事には莫大な資金力が必要とされました。

そのため、徴税人たちは会社のようなものをつくり、出資し合っていきました。さらに、徴税請負会社ともいうべきこの組織は直接徴税することなく、現地の下請け徴税請負人を雇うようになります。

こうして、人々はローマ帝国への課税だけでなく、徴税請負会社と下請け徴税請負からのマージンを取られ、苦しむこととなっていくのです2

また、この徴税請負制度により、徴税請負人の権力が肥大化していきました3

暴君として名高い皇帝ネロでさえも、徴税請負人の不正の是正を課題にあげていくほどに、この制度はローマ帝国の悩みのタネでした4

古代ローマ帝国の末期には、徴税請負人の不正がはびこり、これが原因で反乱が起き、古代ローマ帝国の崩壊につながるのです5

加えて、徴税人はユダヤ人でありながら、ローマ帝国のために働いているばかりか、規定以上に取り立てては自分のものにしていたため、人々から嫌われていました。

ザアカイは、エリコにおける徴税人のリーダーでした。そのために、周りの人からは「罪深い男」と呼ばれることになったのです(ルカによる福音書19章7節)

また、キリストの弟子になったマタイはカファルナウムで働いていて(マタイによる福音書9章9節)、おそらくヘロデ・アンティパスに仕えていました6

属州のいるユダヤ人にとって、侵略者であるローマ帝国の税をあくどい方法で徴収する徴税人はイスラエルの裏切り者でした。

ザアカイの物語のあらすじと解説

『ザアカイ』のあらすじのまとめ
  1. キリストが来ることを耳にする
  2. いちじく桑に登るとキリストから声をかけられる
  3. キリストを家に招く
  4. 悔い改めて、財産を貧しい人々に施し、不正な取り立ては返金することを誓う

ザアカイとキリストの出会い

ザアカイのいるエリコに、キリストが来たとき、ザアカイは会いに行こうとしますが、おそらく以前からキリストに会う機会を求めていたと考えられます。

キリストが活躍する前に預言者として活動していたバプテスマのヨハネは、エリコの近くで働いていたと考えられています。

このときに、何人かの徴税人がバプテスマのヨハネに「先生、わたしたちはどうすればよいのですか」と尋ねていますが、この中にザアカイもいたのかもしれません(ルカによる福音書3章12節)7

いずれにしても、キリストの姿を見ようとしたザアカイは、背が低かったため、走っていちじく桑の木に登ります。

この「走る」という行為は、当時の価値観では非常にみっともないことでしたが、彼はキリストに会うためになりふり構わず、木に登るのです8

ザアカイの回心とその後

ザアカイが木に登ると、キリストが近づいて来て、ザアカイに言葉をかけ、彼の家に泊めてもらうように頼みます。

キリストの優しさに触れたザアカイは、回心し、貧しい人に施すこと、そしてだまし取っていた分を4倍にして返すことを約束するのでした。

伝説ではその後、ザアカイはカイザリアの初代司教になったとされています。10

ザアカイの木はどこにあるの?

ザアカイが登った木の正確な場所は特定されていませんが、その伝承が残っている木がエリコ市内に存在しており、観光名所となっています。

「いちじく」と「いちじく桑」は違う植物?

ザアカイが登った木は、「いちじく」ではなく、「いちじく桑」です。

葉が桑の木に、果実がイチジクの木に似ていたことから「いちじく桑」と呼ばれました。

枝が低く広がったため、都市内の狭い通りではなく、城門の外の郊外にある木でした。ザアカイが登った木も、街のはずれにあったと考えられます9

ザアカイの物語でキリストが伝えたいメッセージ

人の子は、失われたものを探して救うために来た

人の子は、失われたものを捜して救うために来たのである。

ルカによる福音書19章10節

人の子」とは、イエス・キリストのことです。

神であるキリストは「失われたもの」であるわたしたちを救うために、地上に来て、罪を負って十字架で死なれました。

ザアカイとキリストは、たまたま会ったのではなく、キリストが捜しに行ったのです。

キリストはここで、わたしたちが失われていることと、キリストが救うために探しに来たことを伝えています。

物語直前のルカによる福音書18章では、「徴税人」や「金持ち」が登場します。比較して読んでみると、面白いかもしれません。

まとめ

徴税人はユダヤ人でありながら、ローマ帝国のために働いているばかりか、規定以上に取り立てては自分のものにしていたため、人々から嫌われていました。

ザアカイは、そのような徴税人のリーダーでしたが、イエス・キリストと出会い、人生を変えられたのです。

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参考文献

  1. Nichol, F. D. (Ed.). (1980). The Seventh-day Adventist Bible Commentary (Vol. 5, pp. 850–851). Review and Herald Publishing Association.

2. 大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.563-576). Kindle 版

3. 大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.566). Kindle 版.

4. 大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.587-593). Kindle 版.

5. 大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.42-44). Kindle 版.

6. Horn, S. H. (1979). In The Seventh-day Adventist Bible Dictionary (p. 715-716). Review and Herald Publishing Association.

7.  Nichol, F. D. (Ed.). (1980). The Seventh-day Adventist Bible Commentary (Vol. 5, pp. 850–851). Review and Herald Publishing Association.

8.  Nichol, F. D. (Ed.). (1980). The Seventh-day Adventist Bible Commentary (Vol. 5, p. 852). Review and Herald Publishing Association.

9.Nichol, F. D. (Ed.). (1980). The Seventh-day Adventist Bible Commentary (Vol. 5, p. 852). Review and Herald Publishing Association.

10.Morris, M. J. (2016). Zacchaeus. In J. D. Barry, D. Bomar, D. R. Brown, R. Klippenstein, D. Mangum, C. Sinclair Wolcott, … W. Widder (Eds.), The Lexham Bible Dictionary. Bellingham, WA: Lexham Press.

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