1．かくされたベストセラー
おじさんは黒い皮表紙のぶあつい本をテーブルの上におきました。
この前はしぜん界のたからをさがしたけれど、きょうはこの本の中にあるたからについて考えてみよう
これ、せいしょでしょう。この中にたからがかくされているの？
中がくりぬいてあって、ダイヤでもかくされているのかな
いやいや、そんなたからじゃないんだ。「せいしょのたから」というのは、内容（ないよう）がたからのようにすばらしいということなんだよ。
せいしょの中には
「天国は、畑にかくしてあるたからのようなものである。人がそれを見つけるとかくしておき、よろこびのあまり、行って持ち物をみな売りはらい、そしてその畑をみな売りはらい、そしてその畑を買うのである」と書いてあるよ
へえー、せいしょってそんなにすばらしいたからなの
外見はほかの本とかわらないが、ないようがちがうのさ。だからせいしょはいつの時代にも、世界中でもっともよく売れている本、つまり、ベストセラーなんだよ
ふーん。ぼく、もっとせいしょのことが知りたいなあ
わたしも
せいしょがどんなにすばらしいたからなのか、一つの話をしてあげよう
2. ピットケアン島をかえたもの
今から二百年ほど昔のこと、イギリスのブライという船長がバウンティー号という軍艦（ぐんかん）で、パンの木の実をさがしに出かけました。ブライ船長はひじょうにきびしい人だったので、船員たちのふまんがつのり、南太平洋のタヒチ島からの帰りに、とうとうはんらんがおこってしまいました。
そのけっか、ブライ船長はなかま１８人とともに、小さなボートに乗せられ漂流（ひょうりゅう）することになってしましました。しかし幸いなことに、うえとかわきと、たいへんなくろうのすえ、ブライ船長と１８人のなかまは無事（ぶじ）に自分たちの国にたどりつくことができました。
一方、はんらん者たちはタヒチ島にもどり、何人かの男女をつれて南太平洋の小さな島ピットケアンに上陸（じょうりく）し、ここに住むことにしました。かれらはバウンティー号からひつような品をすべて運び出すと、だれにも見つからないように船をやいてしましました。
しかしピットケアン島でもかれらは自分勝手な生活をおくり、酒を飲んではけんかをくり返し、たがいにきずつけ合ったり、ころし合ったりしていました。そのため10年間に15人の反らん者のうち14人が死に、生きのこったのは、ジョン・アダムス一人となってしまったのです。そのほかに子どもが何人か生きのこっていました。ジョンは男一人になってはじめて、まじめにしょうらいのことを考えました。
「こんな生活はもうこれでたくさんだ。これからまじめにはたらいて、子どもたちをりっぱに育て上げたい。だが、いったいどうしたらよいんだろう」
その時思い出したのが、ブライ船長のせいしょでした。
「そうだ、あれを読んでみよう。何かよいことが書いてあるかもしれない」
ジョンは貴重品箱（きちょうひんばこ）のおくにしまってあったせいしょをとりだすと、むさぼるように読み始めました。せいしょのみことばはジョンの心を動かし、ジョンはイエス様にしたがって生活したいと思うようになりました。
今までの自分勝手な生活をあらため、子どもたちにもせいしょを教えました。大人たちの生活をまねてあれていた子どもたちも、ジョンのいのりと教えによってイエス様をしんじるようになり、こうして酒と人ごろしの島ピットケアンは太平洋の天国になったのです。
今までもピットケアン島はクリスチャンの島としてしられています。
3．せいしょとは
おもしろい話だね、おじさん。ところでジョンの心を動かしたっていうせいしょはどんな本なの
せいしょは、旧約聖書（きゅうやくせいしょ）というイエス・キリストがお生まれになる前のことが書かれている書物と、
新約聖書（しんやくせいしょ）というイエス･キリストの時代から期限100年ごろまでに書かれた書物に分けられているんだ。
旧約聖書（きゅうやくせいしょ）も新約聖書（しんやくせいしょ）も、またそれぞれ細かく分けられ、旧約聖書（きゅうやくせいしょ）は39、新約聖書（しんやくせいしょ）は27の書物からなり立っているんだ。
それに、さいしょに書かれた部分とさいごに書かれた部分とでは1600年ものへだたりがあるのに、ふしぎなことに、せいしょの教えにははじめから終わりまでくいちがいがないんだ。
これはそれぞれのちょしゃが、テモテの第２の手紙3:16に「せいしょは、すべて神のれいかんを受けて書かれたものであって……」とあるように神様のみちびきによって書いたからなんだよ
せいしょにはどんなことが書かれているの
さっきも言ったようにイスラエルのれきしとか、よげんとか、イエス様や弟子たちのでんどうのきろくとか、手紙とかさまざまな部分からなり立っているんだけれど、せいしょ全体の中心テーマはイエス様とイエス様によるすくいなんだよ。
このことについて、ヨハネによる福音書５:39には「あなたがたは、せいしょの中にえいえんの命があると思って調べているが、このせいしょはわたしについてあかしするものである」と書かれているよ
おじさん、せいしょって、ぶあつくて、字も小さくて､むずかしそうなので、今まで読んでもみなかったけれど、おもしろそうだね。ぼく、さっそく読んでみたいな。でもどんなふうによんだらいいの
では今度、せいしょを読むときの心がまえを話してあげよう
楽しみだな。じゃあ、おじさん、またね
まとめ
せいしょは日本でも世界でもベストセラーになっています。外見はふつうの本とかわりありませんが、せいしょには人の心をかえるふしぎな力があります。それは神様にみちびかれて書かれた本だからなのです。中心テーマはイエス･キリストとイエス･キリストによるすくいです。
みなさんもこのふしぎな書物を読んでみませんか。
せいしょは、すべて神のれいかんを受けて書かれたものであって、人を教え、いましめ、正しくし、義（ぎ）にみちびくのに有益（ゆうえき）である。
テモテへの第2の手紙3：16
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