【ゼファニヤ書(ゼパニヤ)】比類なき神の愛と正義【2章、3章解説】

目次

中心思想

神の義を受ける残りの民は地上にのぞむさばきを免れ、それにつづく栄光にあずかることができます。

アウトライン

  • 諸国民のさばき(ゼパ2:4~10)
  • 国を受け継ぐ残りの民(ゼパ2:9~15)
  • 現代の状態
  • わがままな民に対する警告(ゼパ3:1~4、6)
  • 神の義(ゼパ3:5)

のがれの道

米国の副大統領カルビン・クーリッジが、上院の会議に出席していたとき、二人の議員のあいだで論争が起こりました。一方の議員が他方の議員に向かって、お前のような奴は地獄に落ちろと言いました。怒った議員はまっすぐ副大統領の前に歩みよりました。副大統領はそのとき本のページをめくっていました。

「副大統領、あなたは今の言葉をお聞きになりましたか」。クーリッジは本から目を上げて、こう答えました。「私は規則集を読んでいたところだ。君は地獄に行く必要はない」(レスター・バフォード『7700の例話集』690ページより)。

この話は今回の要点をついています。あなたはどんなに罪深くても永遠に死ぬ必要はありません。諸国民に対するゼパニヤの霊感の預言は条件つきでした。もし彼らがニネベのように悔い改めていたなら、神は彼らをゆるしておられたことでしょう。限りない愛に満ちた神は従う者にいつでものがれの道を備えておられます。

諸国民のさばき(ゼパ2:4―10)

ゼパニヤの時代にユダの周辺にあった国々はその悪のゆえに神のさばきを受けなければなりませんでした。ゼパニヤの預言はそれらの国々に対する警告でした。彼らが悔い改めて神の救いを受け入れる望みがまだ残されていました。ゼパニヤの勧告は今日もそのまま通用されます。これらの国々は現代の諸国家を代表しています。福音の最後の訴えが全地に鳴り響いています。諸国民は怒り狂っています。神の怒りの時が来たのです(黙示11:18参照)。しかし、まだ悔い改める時間はあります。

質問1

ペリシテ人の地はどうなりますか。ゼパ2:4、5

神は初めに、西方の敵であるペリシテ人に警告しておられます。ゼパニヤはこの平原にあった五つの主要な町のうちの四つしかあげていません。ガテはおそらくアッシリヤ人によってすでに滅ぼされていたのでしょう。

アシドドに対する攻撃は、一日で最も暑い「真昼」に、つまり敵の攻撃が予期されない時になされるのでした。

ケレテ人はペリシテ人によって占領されていた沿岸地方の南部に住んでいました。ペリシテ人は何世紀にもわたって真の神を拒み、神の民を迫害しました(サム上13章参照)。

質問2

ペリシテ人の地はのちにだれによって占領されますか。ゼパ2:6、7

アッシリヤの記録によれば、アッシリヤ人はペリシテ人を侵略し、征服しました。のちに、ヘロデの時代になると、ペリシテ人の地の大部分はヘロデの王国の一部となります。終末の神の残りの民は、各時代の救われた者たちと共に全地に住むようになります(イザ65:17、18、66:22、23、マタ:5:5参照)。

質問3

モアブ人とアンモン人の根本的な罪は何でしたか。ゼパ2:8、10(イザ16:6、エレ48:26比較)

国を受け継ぐ残りの民(ゼパ2:9―15)

ゼパニヤ書2章にあげられている国々は、もし悔い改めなければ神のさばきを受けるのでした。これらの国々は現代世界の諸国民を象徴しています。

質問4

東方の敵によって占領されていた地はだれによって受け継がれますか。神はどれほど広くあがめられますか。ゼパ2:9、11

もしイスラエルが主に仕えていたなら、この預言は彼らの上に成就していたはずでした。しかし、それは今や、地が再創造されるときに神をおがむ各時代の救われた者たちの上に成就するのです(イザ66:23、黙示21:24参照)。

質問5

イスラエルの南方の敵はどんな運命をたどりますか。ゼパ2:12、エゼ30:4

エチオピヤはユダヤ人が知っていた最も南の王|ロでした。「ゼパニヤはこの遠方の国〔エチオピヤ〕についてそれ以上のことを述べていない。エチオピヤは彼の時代において敵対関係にはなかった。彼はただ、すべての異教徒がさばきに会うという思想を例示するためにこの国に言及しているのである。このさばきはエゼキエル30:4、9から明らかなように、カルデヤ人によるエジプ卜のさばきをもって始まった」(C・Fキール、F・デイリッチ「|日約聖書注解」第10巻147ページ)。

質問6

主がアッシリヤとその首都ニネベの滅亡を布告されたのはなぜですか(ゼパ2:13~15)。イザ10:12、13、エゼ31:3、10、11

ゼパニヤの時代、アッシリヤはイスラエルにとって最大の北方の敵でした。アッシリヤは紀元前722年にイスラエルの北方10部族を捕虜としました。「紀元前614年、おそらくカラもそうであったように、アシュルはメディア人の手に落ちた。その2年後(前612年)には、バビロンとメディアの連合軍が、数百年のあいだ敵の攻撃を受けたことのない旧ニネベを包囲している。3か月後、ニネベは敵の手に落ちた」(「SDA聖書辞典』775ページ)。

現代の状態

質問7

終わりの時にサタンに従い、神の忠実な民を迫害する不信仰な国々に対する主のさばきについて、次の聖句はどんなことを教えていますか。黙示録11:18、13:10、16:19、17:12―14

黙示録は神の律法に反対する最終的な国際的連合について予告しています。黙示録13:11~18には、サタンによって創始され、人間によって体系化された礼拝を全世界に強要する法令のことが予告されています。神のみことばに従おうとする者たちはその市民権を奪われます。

質問8

これらの預言の成就につながるどんな国際的な流れを、私たちは今日の世界に認めることができますか。

ゼパニヤはアッシリヤに対する神のさばきを如実に(にょじつ)描写しています。それは、やがて下ろうとしている地の反逆的な諸国民に対する主の刑罰を予告するものです。

悔い改めない国民に対する神の怒り

「主は、ふみにじられたごようこ、自分の律法の権威を、義の恐るべきわざによって擁護される。罪人を待ち受けている報復がどんなに厳しいものであるかは、主が刑罰の執行に気が進まれないことから判断することができる。主が長く忍ばれ、神の御目にその罪悪の升目が満たされるまではお打ちにならない国民も、ついにはあわれみの混じらない怒りの杯を飲むのである」(「各時代の大争闘』下巻402、403ページ)。

わがままな民に対する警告(ゼパ3:1~4、6)

周辺諸国にくだる報復と同じくらい確実に、神はユダの罪人を罰せられるのでした。しかし、神のどのような警告も悪に傾いた者たちの心を変えることはできませんでした。

質問9

ユダが汚れていたのはなぜですか。その道徳的堕落の根本的な理由は何でしたか。ゼパ3:1、2

質問10

預言者は大胆にも、人々を神の律法に背かせているのはだれであると断言していますか。ゼパ3:3、4

主の勧告

いろいろな国が次々と興って、権力と栄光の座につきましたが、それらの悪の杯が満ちたとき、神によって歴史の表舞台から取り去られました(ゼパ3:6参照)。主は愛をもってご自分の民に訴えられました。「あなたはただ、わたしを恐れ、懲らしめを受けよ」(ゼパ3:7、新改訳)。そうすれば、主は彼らの町と家と土地を侵略者の手から守ってくださるのでした。「しかし彼らはしきりに自分の行状を乱した」(ゼパ3:7)。

将来の出来事に対する備え

最近、世界のあちこちで大きな地震が起きています。黙示録16:18~20には、あらゆる島や山を移動させるほどの激しい地震のことが預言されています。

「山々は、風にゆらぐ葦のように揺れ、ゴツゴツした岩があたり一面に飛び散る。嵐が近づいているようなうなり声がする。海は荒れ狂っている。強風のかん高い音が、破壊行為に従事している悪鬼らの声のように聞こえる。全地は海の波のように隆起し揺れ動く。地の表面は砕け散る。地の基そのものが崩れつつあるように見える。山脈は沈下していく。人々の住んでいる島々が消えていく。罪悪に満ちてソドムのようになってしまった海港は、怒った水にのまれてしまう。……おごり高ぶっていた地上の諸都市が低くされる」(「各時代の大争闘』下巻414、415ページ)。

神の義(ゼパ3:5)

質問11

ユダの民は神の臨在と品性についてどんなことを教えられていますか。ゼバ3:5

「その中にいます主は義であって、不義を行われない。朝ごとにその公義を現して、誤ることがない。しかし不義な者は恥を知らない」(ゼパ3:5)。主はご自身、義であられるばかりでなく、信じる者にもご自分の義を与えてくださいます。私たちは毎朝、個人的に、あるいは家族と共に神を礼拝することによって、聖霊の賜物を通して神の義を受けることができます。

質問12

次の聖句は神の義を受けることの結果についてどんなことを教えていますか。イザ32:15~17、ロマ1:16、17、ピリ3:9~11

福音の力とは、神の義が聖霊によって信じる者に与えられることです(ロマ8:9、10参照)。

キリストの品性が私たちのものとなる

「心の貧しさを深く感じ、自分のうちに何もよいものがないと感じるすべての者は、イエスを見上げることによって義と力を見出すことができます。イエスは『すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい」といわれます(マタイ11:28)。イエスはあなたの貧しさを主のめぐみの富と交換するように仰せになるのです。わたしたちは神の愛を受けるにふさわしくありません。しかしわたしたちの保証人であるキリストはそれにふさわしく、また彼に来るすべての者を豊かに救うことがおできになるのです。あなたの過去の経験がどうあろうと、また、現在の状況はどんなに湖Ⅱさせるものであっても、弱く、力なく、気落ちしたままでイエスに来るならば、わたしたちのあわれみ深い救い主は、遠くからあなたを迎え、その愛のみ腕をあなたにのばし、その義の衣をあなたに着せて下さいます。イエスはご自身の品性の白い衣をわたしたちに着せて、父なる神に紹介されます」(「思いわずらってはいけません』10、11ページ)。あなたはどんなことを望みますか。

まとめ

神はご自分の民に対して、はなはだしい罪のゆえに滅ぼされた諸国民の例から学ぶように望んでおられます。神が望まれることは、彼らが罪を捨てて、あがないと回復についての神の計画を心から受け入れることです。

*本記事は、安息日学校ガイド1992年1期『今は備えの時である』からの抜粋です。

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