目次
現れた預言者?
男性は終始ニコニコしながら言いました。
「数日前の夜、教会で聞いた講師の話がすばらしかったんだよ!」
彼は嬉しそうに話を続けました。
「いや、すばらしかったのは話しだけじゃなくて、彼は実は預言者だったんだ」
疑問に思った友人は彼に質問しました。
「どうしてその人が預言者だってわかったの?」
男性はしばらく思い返してから答えました。
「だってその牧師がさ、自分で自分のことを預言者だと言っていたから……」
真の預言者、あるいは真の「預言の賜物」を持つ人物を見分けるしるしとは何でしょうか?
「預言の賜物」を持つ預言者は現代でも存在するのでしょうか?
偽預言者と預言者の働き
- 地球歴史の終わりの時代において、キリストは預言者についてどのような警告をしましたか?
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また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。
マタイによる福音書24章11節
にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、大いなるしるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。
マタイによる福音書24章24節
キリストは、終わりの時代にあらわれる偽物の預言者について警告しました。彼はここで、すべての預言者に気をつけなさいとは言っていません。
キリストは、真の預言の賜物(預言者)が存在すると述べたあとで、偽物について警告したのです。
- 昔から神はどのようにして人間に指示を与えてきたでしょうか?
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わたしは預言者たちに語った。幻を多く示したのはわたしである。わたしは預言者たちによってたとえを語った。
ホセア書12章10節
神のみこころを人々に正しく伝達する働きをしたのが預言者たちでした。預言者は神の言葉を神に代わって語った人々で、神のみこころを知らせ、天からの指示を人々に与えました。
出エジプト記7章1節では、モーセの兄アロンがモーセに代わって語るときに、彼はモーセの「預言者」と呼ばれています。預言者とは神に代わって語る代理人なのです。
- 預言者の働きはどうして大切だったのですか?
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まことに主なる神はそのしもべである預言者にその隠れた事を示さないでは、何事をもなされない。
アモス書3章7節
神は重大なことを行おうとするとき、人類全体に告知する前に、まず預言者たちに意向を伝えました。
- 神は洪水が起こることを人々に警告するために、ノアを用いました(ペテロの第二の手紙2章5節)
- 神はキリストがおとめから生まれることを、預言者イザヤを通して告げました(イザヤ書7章14節)
- キリストがベツレヘムでお生まれになることを預言者ミカが預言しました(ミカ書5章2節)
- 神はイスラエルの70年におよぶバビロン捕囚について、預言者エレミヤをとおして語りました(エレミヤ書25章11節)
- メシアが死なれること(「絶たれる」こと)を預言者ダニエルが預言しました(ダニエル書9章26節)
- 十字架上でのキリストの苦悩の言葉について、預言者ダビデが告知しました(詩篇22篇1節)
- 神はメシアの来臨を予告するために、バプテスマのヨハネを用いられました(ヨハネによる福音書1章23―27節)
- 神はキリストが再びおいでになることを告げるために、預言者パウロ(や他の預言者)を用いました(テサロニケ人への第一の手紙4章16―17節)
- 神は、ご自身が未来をすべてご存知であることを、預言者たちを用いて語りました(ダニエル書2章)
イザヤ書46章9―10節には次のように書かれています。
いにしえよりこのかたの事をおぼえよ。わたしは神である、わたしのほかに神はない。わたしは神である、わたしと等しい者はない。 わたしは終りの事を初めから告げ、まだなされない事を昔から告げて言う、「わたしの計りごとは必ず成り、わが目的をことごとくなし遂げる」と。
イザヤ書46章9―10節
しかしすべての「預言」が「予言」ではありません。「預言の賜物」は勧告、指示、そして神のみこころを人々に理解できるように語るものなのです。
- 地球の終わりの時代、「預言の賜物」を持つ預言者は実際に存在するのでしょうか?
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その後わたしはわが霊をすべての肉なる者に注ぐ。あなたがたのむすこ、娘は預言をし、あなたがたの老人々は夢を見、あなたがたの若者たちは夢を見る。その日わたしはまたわが幻をしもべ、はしために注ぐ。
ヨエル書2章28―29節
この預言は、使徒行伝2章に書かれているペンテコステの祭で部分的に成就しました。
聖書は、キリストが再び戻って来られる前に、聖霊の大いなる働きが起こることを明言しています。まもなく真の預言の賜物の働きが明らかにされるでしょう。
- 神はみこころを、どのように預言者たちに示しましたか?
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あなたがたのうちに、もし、預言者があるならば、主なるわたしは幻をもって、これにわたしを知らせ、また夢をもって、これと語るであろう。
民数記12章6節
- 預言者たちが神のことばを語るとき、その原動力となったものは何でしょうか?
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なぜなら、預言は決して人間の意志から出たものではなく、人々が聖霊に感じ、神によって語ったものだからである。
ペテロの第二の手紙1章21節
「預言の霊」は聖霊の賜物の一つです(コリント人への第一の手紙12章7―11節)。
神は、聖霊の賜物がある特定の期間だけに限られるものだと言われたことはありません。この世界に聖霊が働き続ける限り、神の栄光の働きの中に、聖霊の賜物が常に存在することをわたしたちは信じているのです。
- 神は真の預言の賜物を受けるように弟子たちを励ましましたか?
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あなたがたの神、主を信じなさい。そうすればあなたがたは堅く立つことができる。主の預言者を信じなさい。そうすればあなたがたは成功するでしょう。
歴代誌下20章20節
預言を軽んじてはならない。すべてのものを識別して、良いものを守り
テサロニケ人への第一の手紙5章20―21節
神が、もはや預言の賜物を与えない、あるいは預言者を通して語ることはしないと宣言されたことは一度もありません。
神は預言者の言葉に忠実に従う人々に祝福を約束し、真の「預言の賜物」と偽物の預言者とを見分けるように促しておられます。
預言者を見分けるポイント
- 真の預言の賜物のしるしは何でしょうか?
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- 真の預言者の預言は必ず実現します
平和を預言する預言者は、その預言者の言葉が成就するとき、真実に主がその預言者をつかわされたのであることが知られるのだ。
エレミヤ書28章9節
- 真の預言の賜物を持つ者は、その預言が実現した後も神のみ言葉に忠実です
あなたがたのうちに預言者または夢みる者が起って、しるしや奇跡を示し、 あなたに告げるそのしるしや奇跡が実現して、あなたがこれまで知らなかった「ほかの神々に、われわれは従い仕えよう」と言っても、 あなたはその預言者または夢みる者の言葉に聞き従ってはならない。
申命記13章1―3節
- 真の預言の賜物はいつも神の律法と調和しています
教えとあかしに尋ねなければならない。もし、このことばに従って語らなければ、その人 には夜明けがない。(新改訳聖書)
イザヤ書8章20節
- 真の預言の賜物を持つ者の生活は、キリストの品性をあらわしています
にせ預言者を警戒せよ。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである。……このように、あなたがたはその実によって彼らを見わけるのである。
マタイによる福音書7章15節、20節
- 神は霊能者や占い師たちに預言の賜物を与えましたか?
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あなたがたのうちに、自分のむすこ、娘を火に焼いてささげる者があってはならない。また占いをする者、卜者、易者、魔法使、 呪文を唱える者、口寄せ、かんなぎ、死人に問うことをする者があってはならない。 主はすべてこれらの事をする者を憎まれるからである。そしてこれらの憎むべき事のゆえにあなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるのである。
申命記18章10―12節
人気を博していたとしても、神は霊能者や超能力者たちに預言の賜物や他の霊の賜物を与えていません。死者と交信を行う行為は聖書の中で厳重に禁じられているからです。
なぜなら「死者は何事をも知らない(無意識の状態)」からです(伝道の書9章5節)。
つまり死者と交信をする力を主張する預言者は神から来た預言者ではなく偽物の預言者です。[It Is Written 聖書研究ガイド10 死のミステリー 参照]
- 現在、ほとんどの教会に預言の賜物が欠けているのはなぜでしょうか?
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その門は地にうずもれ、主はその貫の木をこわし砕かれた。その王と君たちはもろもろの国民の中におり、もはや律法はなく、またその預言者は主から幻を得ない。
哀歌2章9節
神の民が神に反逆し、神の律法をないがしろにするとき、神は人々に預言の賜物を与えるのを控えられます。
聖霊の賜物は、神にすべてをゆだね、神と調和して忠実に生きようとする熱心な人々にのみ与えられます。神の民が人生を神にゆだね、神の律法に従うのでなければ預言の賜物は与えられません。
- 預言の賜物はどのような人々の中に見つけることができますか?
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そして、神は教会の中で、人々を立てて、第一に使徒、第二に預言者、第三に教師とし、次に力あるわざを行う者、次にいやしの賜物を持つ者、また補助者、管理者、種々の異言を語る者をおかれた。
コリント人への第一の手紙12章28節
「預言の賜物」をテレビのトークショ-やブログで見つけることはできません。真の預言の霊は教会の中で奉仕をとおして神と調和して働く人々の中に見られます。
他の霊の賜物と同様に、預言の賜物はキリストの再臨に人々を備えさせ、恵みの中で人々が神に近づくことを助けるために与えられるものなのです。
終わりの時代と預言の賜物
- 「預言の賜物」は聖書にとって代わるものなのでしょうか?
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そこで、こう言われている、「彼は高いところに上った時、とりこを捕えて引き行き、人々に賜物を分け与えた」。……そして彼は、ある人を使徒とし、ある人を預言者とし、ある人を伝道者とし、ある人を牧師、教師として、お立てになった。 それは、聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ、キリストのからだを建てさせ、
エペソ人への手紙4章8節、11―12節
預言の賜物が神の言葉(聖書)にとって代わることはありません。初期のキリスト教会がそうであったように、旧約時代のイスラエルにも預言の賜物がありました。
しかし預言の賜物が聖書の重要性を軽視するようなことは決してありませんでした。神は神の民を奉仕に備えさせ、教会を備えさせるために聖霊の賜物を与えられたのでした。
- 「預言の賜物」が終わりの時代の教会に見られると神は言われましたか?
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龍は、女に対して怒りを発し、女の残りの子ら、すなわち、神の戒めを守り、キリストのあかしを持っている者たちに対して、戦いをいどむために、出て行った。
ヨハネの黙示録12章17節
ヨハネの黙示録19章10節は、「キリストのあかしは、すなわち預言の霊である」と述べています。
つまり神は、終わりの時代にご自分の教会を特定するしるしが「預言の賜物」であると断言しておられるのです。この神の言葉によるならば、終わりの時代の真の教会は、真の預言の霊を持っていることになります。
[It Is Written聖書研究ガイド21 真の神の教会]の中でも解説したように、終わりの時代の真の神の教会には次のような特徴が見られます。
- 紀元1798年よりも後の時代にあらわれる(ヨハネの黙示録12章6節、14節)
- 本来キリスト教会が持っていた教えを信じている(ヨハネ黙示録12章17節)
- 全世界に福音を伝える(ヨハネの黙示録14章6節)
- ヨハネの黙示録14章の「永遠の福音」を宣べ伝える(ヨハネの黙示録14章6―12節)
- 第七日安息日を含む神の十戒のすべてを信じ、守ることを教える(ヨハネの黙示録12章17節、14章12節)
- 「死」が、キリストが再臨される日までの眠りであると教える(ヨハネの黙示録14章13節)
- 預言者の言葉を信じ、預言の賜物を含む聖霊の働きを信じる(ヨハネの黙示録12章17節、19章10節)
聖書には、「聖書に何も付け加えてはならない」と書いてあります。「預言の賜物」を受け入れることは、聖書の内容に付け加えることにはならないでしょうか?
断じてそうではありません。事実、真の預言の賜物を受け入れることは聖書に従順な生き方をする見本とも言えるからです。
聖書は、終わりの時代の真の神の教会が真の預言の霊を持つと言っています。預言の賜物は人々をキリストに導くため、人々が神を知り、キリストの再臨に備えてもっと神に近づくように励ますために与えられるものです。
ヨハネは、ヨハネの黙示録22章18―19節に次のように書き記しています。
この書の預言の言葉を聞くすべての人々に対して、わたしは警告する。もしこれに書き加える者があれば、神はその人に、この書に書かれている災害を加えられる。 また、もしこの預言の書の言葉をとり除く者があれば、神はその人の受くべき分を、この書に書かれているいのちの木と聖なる都から、とり除かれる。
ヨハネの黙示録22章18―19節
また箴言30章5―6節には次のように書かれています。
神の言葉はみな真実である、神は彼に寄り頼む者の盾である。その言葉に付け加えてはならない、彼があなたを責め、あなたを偽り者とされないためだ。
箴言30章5―6
神が与えてくださる預言の賜物を受け入れることは、決して神の言葉(聖書)の使命にとって代わるようなものではありません。
聖書があるのに、それとは別にどうして預言の賜物が必要なのでしょうか?
旧約時代のイスラエルも同じ質問をしたかもしれません。
神はイスラエルの人々が神と神の言葉(聖書)に調和した生き方をするのを助けるために、たびたび預言の賜物を持つ預言者を起こしました。
神の預言者が人々に拒否された時代もありましたが、イスラエルにとって決して祝福された時代とはなりませんでした。
旧約聖書を用い、次第に新約聖書の書き物が増えつつ合った初期のキリスト教会の人々は、それでも預言の賜物が必要ではないと神に言ったことはありませんでした。
使徒パウロ、ピリピの4人の娘たち、ヨハネ、その他多くの預言者の奉仕は教会に受け容れられ、彼らの働きの結果、教会は栄えたのでした。
- 神は終わりの時代の真の教会の中に「預言の賜物」をどのように位置づけられますか?
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終わりの時代の神の教会が出現したとき、神はエレン・ハーモン(1827―1915年)という名の若い女性に預言の賜物を与えられました。
神はこの教会を導くために、エレン・ハーモン(結婚後はエレン・ホワイト)が書いた書物と教えをとおして、宣教精神をもつこの集まりが成長するように勧告を与え、励ましたのでした。
基本的な学校教育しか受けていなかったにもかかわらず、エレン・ホワイトは数え切れないほどの文章を残し、何十冊という書物を出版し、世界に向けて急速に成長していく教会に、かけがえのない手引きを提供したのでした。
70年に及ぶ奉仕の期間、エレン・ホワイトは健康について、両親のあり方について(教育)、またわたしたちの信仰生活や聖書を理解するための解説を書き続け、その結果多くの人々を神の言葉(聖書)に導き、力と慰めを与えました。
エレン・ホワイトの死後も、彼女の書物は人々を聖書に導く有益なガイドブックとして、時代を経て多くのクリスチャンの信仰生活を導き続けているのです。
彼女の残した多くの書物は世界各国の言葉に翻訳され、広く読まれています。特にキリストとともにある人生を構築するためのベストセラー、『キリストへの道』は世界165以上の言語に翻訳されています。
- わたしたちはどのようにして真の預言の賜物に親しむことができるでしょうか?
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この特別な「霊の賜物」に親しむ最善の方法は、エレン・ホワイトが著した書物を読むことです。彼女の著書をとおして神を深くめい想するとき、人々はエレン・ホワイトが確かに神に用いられた預言者であり、その言葉によってわたしたちが真理をより深く理解できるようにしてくださったことを実感するのです。
- キリストの再臨前には、預言の賜物を持つ人々が多くあらわれるでしょうか?
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その後わたしはわが霊をすべての肉なる者に注ぐ。あなたがたのむすこ、娘は預言をし、あなたがたの老人々は夢を見、あなたがたの若者たちは幻を見る。その日わたしはまたわが霊をしもべ、はしために注ぐ。
ヨエル書2章28―29節
ヨエルの預言によれば、キリストが再び来られる前に、預言の賜物を持つ人々が多くあらわれます。
これは近い将来に証明されるはずですが、キリストが警告したように、終わりの時代には偽物の預言者たちも多く出現することについて(マタイによる福音書24章24節)、使徒パウロも勧告していることに注目すべきです。
預言を軽んじてはならない。すべてのものを識別して、良いものを守り、
テサロニケ人への第一の手紙5章20―21節
- わたしたちの信条は聖書と預言の賜物の両方を基盤とするものなのでしょうか?
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キリストは答えて言われた、「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものであると書いてある。
マタイによる福音書4章4節
わたしたちの信条は聖書のみを基盤とするものです。預言の賜物を与えられた人々は、人々の心を彼ら自身ではなく神の言葉(聖書)に導きます。
預言者は、聖書を基盤とする信仰の上に、神によって立てられた特別な存在でした。神は預言者たちを用いて、人々に神の言葉(聖書)をわかりやすく説明したのでした。
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聖書の引用は、特記がない限り日本聖書協会口語訳を使用しています。
そのほかの訳の場合はカッコがきで記載しており、以下からの引用となります。
『新共同訳』 ©︎共同訳聖書実行委員会 ©︎日本聖書協会
『口語訳』 ©︎日本聖書協会
『新改訳2017』 ©2017 新日本聖書刊行会
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