熟睡していたヨナ
しかし、ヨナは船の奥に下り、伏して熟睡していた。ヨナ1:5(口語訳)
「船が破れるほどの激しい暴風」の中、ヨナは熟睡していました。
彼が眠っていた原因は明確には書かれていません。しかし、興味深いことに「熟睡」と訳される言葉は「深く眠ること」の他に「呆然とすること 」という意味があるのです。
ある学者は、このヨナの状態がうつであった可能性を指摘しています。
もしかすると、ヨナはあまりの疲労と精神的なダメージから、嵐の中でも動けなくなってしまっていたのかもしれません。もしくは、死んでもいいとさえ思っていたのかもしれません。
いずれにしても、ヨナは心身ともに弱りきっていたのです。
「起きて呼ばわれ」
そこで船長は来て、彼に言った、「あなたはどうして眠っているのか。起きて、あなたの神に呼ばわりなさい。神があるいは、われわれを顧みて、助けてくださるだろう」。ヨナ1:6(口語訳)
弱り果てたヨナのもとに、船室の様子を見にきた船長が来ます。そして、「起きて、あなたの神に呼ばわりなさい」と無情にも言うのです。
この「起きて呼ばわれ」という言葉は、ヨナ書1章2節で、ヨナが召されたときに神が使われた言葉です。
まさにヨナにとっては悪夢だったでしょう。神が彼の快適な生活を乱した言葉が、そのまま異教徒の船長の口から出てきたのです。
祈っても手応えがない
船長に言われた後、ヨナがどのように行動したのかは聖書には明記されていませんが、もしかするとヨナは、言われたとおりにお祈りをしたのではないでしょうか。
しかし、その祈りは聞かれませんでした。手応えもなく、助けをもたらしませんでした。
もしかすると、わたしたちの人生において、疲れ切り、心身ともに弱り果てるときがあるかもしれません。祈っても聞かれず、クリスチャンにもかかわらず、神を信じていないまわりの人からもその問題を指摘されるかもしれません。
ただヨナ書を読んでいるわたしたちは、そのようなヨナであっても、神が共におられたことを知っています。
同じように、どのような状態にわたしたちがあっても、神は共におられます!