犬と呼ばれて喜んじゃう?【マルコによる福音書7章24節―31節】

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今日の聖句はこちら(口語訳)

マルコによる福音書7章24節―31節(口語訳)

7:24さて、イエスは、そこを立ち去って、ツロの地方に行かれた。そして、だれにも知れないように、家の中にはいられたが、隠れていることができなかった。 7:25そして、けがれた霊につかれた幼い娘をもつ女が、イエスのことをすぐ聞きつけてきて、その足もとにひれ伏した。 7:26この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生れであった。そして、娘から悪霊を追い出してくださいとお願いした。 7:27イエスは女に言われた、「まず子供たちに十分食べさすべきである。子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。 7:28すると、女は答えて言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンくずは、いただきます」。 7:29そこでイエスは言われた、「その言葉で、じゅうぶんである。お帰りなさい。悪霊は娘から出てしまった」。 7:30そこで、女が家に帰ってみると、その子は床の上に寝ており、悪霊は出てしまっていた。

7:31それから、イエスはまたツロの地方を去り、シドンを経てデカポリス地方を通りぬけ、ガリラヤの海べにこられた。

そして、けがれた霊につかれた幼い娘をもつ女が、イエスのことをすぐ聞きつけてきて、その足もとにひれ伏した。マルコ7:24(口語訳)

この女性は、今までも異教の神々に助けを求めていきましたが、問題は解決せず、平安に包まれることはありませんでした。

そんなとき、彼女はキリストの噂を聞きます。キリストに助けを求めた者は、金持ちであろうと、貧しい人間であろうと、あらゆる種類の病気をいやされるといううわさが立っていました。彼女はただ1つの望みを失ってはいけないと決心し、キリストのもとを訪ねます。

この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生れであった。そして、娘から悪霊を追い出してくださいとお願いした。マルコ7:26(口語訳)

「お願いした」は、原語では「願い続けた」というニュアンスがあります。必死に、彼女は助けを求めていきます。すがりつくように、キリストのもとへ行くのです。

そんな彼女にキリストは、次のように答えられます。

イエスは女に言われた、「まず子供たちに十分食べさすべきである。子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。マルコ7:27(口語訳)

戸惑いを覚えるようなことをキリストは言われました。

「なんで犬って呼ぶの? ひどくない? うっとうしかったの?」。

いろいろな思いがわたしたちの頭に浮かびますが、そうではありません。キリストは、この女性にわざわざ会いに来ていたからです。

このとき、キリストには2つの意図がありました。

1つめは、自分の使命を明らかにする意図です。キリストはあくまで、イスラエルの人々に対する働きがメインであり、異邦人への働きは弟子たちに任せられました(マタイ15:24)。

2つめは、自分たちユダヤ人が何をしているのかを、弟子たちに示されたのです。

この当時、ユダヤ人は異邦人のことを「犬」と呼んでいました。そして、この言葉は、罪びとや救われない人々を指す言葉でもありました(箴言26:11、2ペテロ2:20―22、黙示録22:15)。つまり、彼らは異邦人に対して「救われない人々」であると言っていたのです。

キリストは他のユダヤ人たちの真似をして「犬」と呼ばれましたが、そこには隠しきれない憐れみが出ていました。そして、彼女はそれを見て、次のように言いました。

すると、女は答えて言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンくずは、いただきます」。 マルコ7:28(口語訳)

異邦人を「犬/救われない罪人」と言って、その人に神を伝えるという使命を捨てたユダヤ人と、神の祝福を受けるためであれば喜んで「犬/救われない罪人」と呼ばれた異邦人がここにいました。

キリストはこの信仰を弟子たちに伝えられたのでした。そして、キリストはこの女性の頼みを聞き、この女性の娘を救われるのです。

わたしたちはどちらでしょうか。

「あー、あの人はこういう悪いところがあるよね」と人を見るでしょうか。

それとも、自分を顧みて「救われないはずの私」に目をかけてくださるキリストを見上げるのでしょうか。

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『新改訳2017』 ©2017 新日本聖書刊行会

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