【レビ記】清めと悪の勢力【解説】#8

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超勢力の戦い

二つの超人的勢力がこの地上で激しい戦いを展開しています。一方は私たちの創造主で救い主である神の勢力であり、他方はサタンと堕落した天使たちの悪の勢力です。サタンはたえず信じる者たちを神への忠誠から引き離そうとしています。私たちは悪の勢力についての主の警告につねに心をとめるべきです。

クリスチャンを脅かすオカルト〔神秘主義〕

イスラエル人はたえずエジプト人、カナン人などの偶像崇拝による誘惑を受けてきました。紀元前6世紀にバビロン捕囚から帰るまでの彼らの歴史は、神に対する絶えざる反逆の歴史でした。彼らは異教の神々を礼拝しました。預言者エレミヤを通して、主は次のように嘆いておられます。

「天よ、この事を知って驚け、おののけ、いたく恐れよ……それは、わたしの民が二つの悪しき事を行ったからである。すなわち生ける水の源であるわたしを捨てて、自分で水ためを掘った。それは、こわれた水ためで、水を入れておくことのできないものだ」(エレミヤ書2:12、13)。

異教の神秘主義に対する関心はなくなったわけではありません。新しいかたちの神秘主義が今もキリスト教を脅かしています。セブンスデー・アドベンチストも例外ではありません。過去20年のあいだに、西洋のオカルトが東洋の神秘主義と結合し、現代社会に新たな神秘主義をもたらしています。東洋の神秘主義と西洋のオカルトにもとづいた理論や実践が現代人の生活のあらゆる面、たとえば科学、実業、健康、教育、心理学、宗教、政治、芸術、娯楽などに入り込んでいます。その根底には、非聖書的な世界観を持つ質卓籠畜があります。この汎神論はかつて、ミシガン州バトル・クリークにあった私たちの最初の医療施設の院長、J.H・ケロッグ博士の教えによってアドベンチスト教会に伝えられようとしたことがありました。現代のある学者は次のように述べています。

「人間に与えられている宗教的な選択は多くはない。私たちはいかなる神をも信じないで無神論者となるか、一つの神を信じて一神論者となるか、それともすべてのものが神であると信じて汎神論者となるかである。これら三つのうち、汎神論は歴史を通じて人間の最大の関心であった。……啓示された宗教がないなら、人間は自然宗教に引きつけられ、自然をすべてだと考え、自然を、そして人間を神格化する」(ロバート・J.L・バローズ「新時代におけるアメリカ人の宗教」『今日のキリスト教』1986年5月16日、17ページ)。

今日では、心霊術などの古くからある神秘学が、人間性を高めるといわれるさまざまな技術によって補われるようになってきています。さまざまなかたちの瞑想、全人的健康運動、それに各人のうちに隠されているといわれる「高度な能力」を目ざめさせる努力によって、人間は問縣を解決しようとしています。

今回は、神秘主義の本質について聖書から学び、またそれに対するクリスチャンの対応について考えます。

神に逆らう知的存在者(レビ記17:7)

質問1

イスラエルはどんな礼拝について警告されていましたか。レビ記19:4、26:1、30

質問2

イスラエル人はだれを礼拝すべきでしたか。それはなぜでしたか。出エジプト記20:3~6、11

質問3

使徒パウロは唯一の真の神に対抗する悪の勢力について何と教えていますか。クリスチャンはこの勢力に対してどんな態度をとるべきですか。コリント第I・10:19~21

「偶像礼拝の本質、つまりそれがサタンおよび悪天使と交わるることであることを知っていたパウロは、クリスチャンに対して偶像礼拝を避けるように強く勧告している。クリスチャンはただキリストにのみ献身する者たちである。彼らは創造とあがないによってキリストのものであり、唯一の、真の神以外の者をあがめる礼拝を少しでも認めることはできない」(『SDA聖書注解』第6巻746、747ページ)。

質問4

悪霊の起源はどこにありますか。彼らは神とどんな関係にありますか。黙示録12:7~9’ペテロ第II・2:4(イザヤ書14.12~14、エゼキエル書28:13~18比較)

「目に見える世界と目に見えない世界との関係、神の天使の奉仕、そして悪霊の働きなどは、聖書の中にはっきりと示されており、人類歴史と不可分に織り混ざっている。一般に、悪霊の存在に関しては、信じない傾向が強まっており、他方、『救を受け継ぐべき人々に奉仕する』聖天使たちは、死者の霊であると考えている人が多い(ヘブル1:14)。しかし、聖書は、善天使と悪天使は両方とも存在することを教えているばかりでなく、これらは肉体を離れた死者の霊ではないという、疑うことのできない証拠を提示している。……悪霊たちは、最初、罪のないものとして創造され、その性質と力と栄光において、今神の使いをしている聖なる存在者たちと同等であった。しかし、罪のために堕落して、彼らは、神のみ名を汚し人間を破滅させるために団結しているのである。彼らはサタンの反逆に加担し、彼とともに天から追放され、各時代を通じて、彼と協力して神の権威に逆らって戦ってきた。聖書には、彼らの同盟と政府、種々の階級、その知性と陰険さ、人間の平和と幸福を破壊しようとする悪だくみのことが記されている」(『各時代の大争闘』下巻251、254ページ)。

質問5

アダムとエバを罪におとしいれることによって地球の支配権を手に入れたサタンは、現在、どんな地位を占めていますか。ヨハネ12:31、コリント第II 4:4

質問6

クリスチャンはどうしたら、惑わしに満ちた「悪魔の策略」を信じることから守られますか。エペソ6:10~18

現代の社会はサタンの偽りを受け入れやすくなっています。科学に慣れた人間の心は聖書から、また神の教えと権威から遠く離れてしまっています。同じように、人々はサタンと悪霊の存在を信じようとしません。現代物理学はエネルギーを基本的な実在とみなしているため、世の知識人のなかには、エネルギーを東洋の神秘主義によって教えられる汎神論と同一視する傾向が見られます。現代化学、オカルト、東洋の神秘主義が一つの世界的な信仰体系に統合されようとしています。

汎神論的な世界観は聖書の教えと相反するものです。(1)汎神論は人格的な創造者である神の存在を否定します。(2)それは、人類が罪を犯し、救い主イエス・キリストの罪なき生涯とあがないの死によってのみ救われるという聖書の教えを拒否します。(3)それは、死も最後のさばきもないと教えます。生命は霊魂再来によって向上・流動すると考えます。(4))病気の治癒などの物理現象は、人間のうちに隠された「高度の能力」、あるいは放射エネルギーによる、と考えます。

このような考えは人間の心をサタンの働きに対して盲目にします。サタンはあらゆる方法を用いて人間を滅ばし、神の恵みの福音から遠ざけようとしています。

「聖書に直接的な多数の証拠があるにもかかわらず、悪魔と悪天使たちの存在と働きを否定する人々ほど、悪霊の力に動かされる大きな危険の中にある人たちはいない。われわれが彼らの策略に無知であるかぎり、彼らは、われわれには想像もつかないほど優位にある。多くの者は、彼らの暗示に耳をかし、それでいて、自分自身の知恵の命じるところに従っていると考える。このために、サタンは、人々を欺き滅ばすために全力で働く。世の終末が近づくにつれて、サタンは存在しないという考えを至る所に広めるのである。自分と自分のやりかたとを隠すのが、サタンの手である」(『各時代の大苓砒』下巻257、258ページ)。

心霊術に対する警告(レビ記20:6、27)

質問7

神はご自分の民に対して、だれと相談することを禁じておられますか。レビ記19:31(イザヤ書8:19比較)

質問8

サウル王は亡くなった預言者サムエルと交信しようとしました(サムエル記上28:7~25参照)。エンドルの霊媒を通して、サムエルに似たものがサウルに語りかけました。神はこのときサウルと語っておられたのでしょうか(サムエル記上28:6、歴代志上10:13、14参照)。

「『口寄せ』の霊は、死者の霊ではなくて、サタンの使者、すなわち、悪天使である。……古代の偶像礼拝は、死者の礼拝と死者との交通を主張することから成り、聖書は、それを悪魔の礼拝であると言明している。……彼らは死者を礼拝していたが、実際は、悪霊を礼拝していたのである。

現代の心霊術は、これと同じ基礎に基づくもので、昔、神が堅く禁じられた魔術と悪霊の礼拝の形を新しくして復活したものに過ぎない」(『人類のあけぼの』下巻370、371ページ)。

聖書の神を信じないで、自分たちが善良で賢明な霊によって導かれ、教えられていると考えている人々は、だまされているのです。聖書の啓示によれば、そのような霊は神に対して、またすべての聖にして善なるものに対して戦いを挑む悪霊です。聖書の教えに従わないなら、現代人は(教養があろうとなかろうと)みな、オカルトと東洋の神秘主義の偽りに対して無防備です。彼らはしばしば、潜在的な起自然の能力が活動していると考えます。

質問9

イスラエルの神権体制において、レビ記の律法は悪の勢力の霊媒を務める者に対してどんな規定を定めていましたか。レビ記20:6、27

「心露術者の数は増えている。……神の民が守られるためには、聖書に精通し、死者の眠りについての私たちの信仰に固く立つしかない。サタンは巧妙な敵である。悪天使たちにとって、死んだ聖徒や罪人の姿をとり、人間の目に見させることはむずかしいことではない。終末が近づくにつれて、これらの現象はより籍慇になり、もっと驚くべきかたちをとって現われるようになるであろう」(『伝道』604ページ)。

魔術に対する警告(レビ記19:26)

質問10

イスラエル人はカナン人のどんな行為に加わることを固く禁じられていましたか。レビ記19:26、申命記18:9~14

カナン人とバビロニヤ人はあらゆる種類のオカルトに深くかかわっていました。これらの言葉の正確な意味はわかりませんが、レビ記の律法があらゆる種類の占い、魔術、心霊術を禁じていたことだけは確かです。「占い」と訳されているヘブル語(レビ記19:26)には、「予言する」、「将来を予測する」、「隠された知識を発見する」といった意味があります。ネプカデネザルは矢筒、テラビム、動物の肝を用いて、どちらの国(ユダかァンモン人か)を先に攻めるべきかを「占い」ました(エゼキエル書21:21参照)。こうした行為は私たちにとっては不合理のように見えますが(実際にそうです)、これらのオカルトの背後に悪の勢力が働いていることを忘れてはなりません。

占いはさまざまな形式をとります。それは人間の持つ二つの基本的な欲求と結びついています。一つは、将来を知りたいという欲求であり、もう一つは、病気を知り、いやされたいという欲求です。心霊療法はオカルトの重要な部分を占めています。

質問11

イスラエルの北王国の支配者であったアハジヤ王が悪魔的な力によっていやしを求めたとき神はどのように彼を責められましたか。列王紀下1:2~4、16、17

現代のクリスチャンに対する警告

「今日、異教礼拝の神秘的儀式にかわって、秘密結社、降神術の集会、心霊術の霊媒などの薄暗さと不可解さとがある。神のみ言葉、または、聖霊による光を拒否する幾千という人々が、これらの霊媒の言うことを熱心に受けいれている。心霊術の信者たちは、古代の魔術を軽蔑して語るであろうが、大欺職者は、彼らが別の形の彼の策略に陥るのを、勝ち誇って喜ぶのである。……

ほとんどすべての種類の心霊術の主唱者たちは、いやしの力を持っていると主張する。彼らは、この能力を電気、磁気の力、いわゆる『共感治療』または、人間の心の中にある潜在力によるものであると言っている。このキリスト教時代にあってさえ、生きた神の力と資格をもった医師の技術に信頼せずに、こうした治療者のところに行く人が多くある。子供の病床で見守っている母親は、『もうわたしにはこれ以上何もできない。わたしの子供を治して下さる力を持った医師はないものだろうか』と叫ぶ。彼女は、千里眼的磁気治療者が驚くべきいやしを行っていると聞いて、彼女の愛する子供を彼にゆだねるのであるが、これは、正しく彼女のかたわらに立っているも同然のサタンにゆだねることである。多くの場合、子供の将来はサタンの力に支配されて、それからぬけ出ることは、ほとんど不可能になるのである」(『国と指導者』上巻178、179ページ、傍点付加)。

オカルトは今日、全人的健康運動と結びついています。人間は全体として、つまり肉体的、精神的、鴬的にいやされる必要があると考えることは正しいことです。しかし、一部の医療施設においては、科学的な医療行為がオカルトや東洋医術の心霊療法と並行して行われています。『ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション』の1979年における報告によれば、アメリカにはそのような施設・診療所が500以上もあるそうです。それらは医師と心霊治療師によって管理・運営されています。このように、「古代」(つまり、オカルトと東洋医術)の治療法と現代の医学が提携するようになってきています。同じ年に、有名な、ジョンズ・ホプキンズ大学は「心霊療法」や、その他の「非伝統的療法」の講座をもうけています。

心霊療法、オカルト、汎神論

しばしば振り子などの物体を用いて病気を診断・治療する心霊療法は、長いあいだオカルトの重要な一部分を占めてきました。病気やストレスの治療法としてのオカルトや東洋医術は、聖書にもとづかない汎神論的世界観と結びついています。この事実はしばしば隠されてきました。クリスチャンもオカルトの治療法を借用・応用することができると考えることは危険です。オカルトをキリスト教に見せかけることはサタンの偽りと支配に対して道を開くことです。

セプンスデー・アドベンチストはその歴史の初期に、合理的な方法を用いて病気を予防・治療するように聖霊の導きを受けました。医師・看護婦・医療助手に科学治療法を教えるための医学施設が建てられました。神は定められた医療施設を通して働かれます。神の忠実な民が聖書の勧告に従うとき、神はまた彼らの祈りにこたえてくださいます(ヤコブ5:13、15参照)。

質問12

悪の勢力はほかにどんな方法で私たちに戦いをいどんできますか。唯一の防衛策は何ですか。マタイ24:24、テサロニケ第I1・2:8~12

まとめ

異教のオカルトに対するレビ記の警告は、今日のクリスチャンにとって現代の真理と言えるものです。サタンの手下どもは光の天使をよそおって(コリント第Ⅱ 11:13~15)、「新しい」かたちの古代の魔術をもって現代社会に戦いをいどんできます。キリストとキリストの言葉に従うときにのみ、神の民はサタンの虚偽と偽りの預言から守られます。

*本記事は、安息日学校ガイド1989年1期『レビ記と生活』からの抜粋です。

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