【ヨシュア記】戦略【1章解説】#3

目次

中心思想

ヨシュアがイスラエルの指導者としての働きを始めた時、神はカナン征服とその後の成功についての秘訣を示されました。

アウトライン

  1. ひるまない勇気(ヨシ1:6,7,9,18)
  2. 神の約束に対する不動の確信(ヨシ1:3~6,9)
  3. 神のみ心に対する全的献身(ヨシl :7)
  4. 不断の交わり(ヨシl:8,詩l)
  5. 大いなる勝利(ヨシ1:9~18)

勝利のための戦略

多くの点で、ヨシュア記第1章はこの書全体のメッセージを要約しています。神はここで、ヨシュアに、また私たちに、霊的戦いにおける勝利の秘訣を教えておられます。神は四つの具体的で、実際的な戦略を示し、またご自分の計画に喜んで従う者たちに対して、成功を約束しておられます。ヨシュア記のこの部分は聖書の中でも最も実際的で力強いものの一つです。ここで、「ヨシュアは知性以上の信仰の模範を示している。彼は進んで過去に背を向け、約束を要求し、条件を満たし、全力を尽くして自分にゆだねられた生涯の使命を完成しようとしている」(ジョン・A・ハフマン『コミュニケーターズ・コメンタリー、ヨシュア記』38ページ)。このように、ヨシュアはイスラエル人だけでなく私たちにとっても模範となる人物です。今回の研究を進める時に、私たちもヨシュアのような信仰を持つことができるように、神に私たちの心に宿ってくださるように祈りましょう。

ひるまない勇気(ヨシ1:6,7,9,18)

イスラエルの新しい指導者としてのヨシュアの務めは、民がヨルダンを渡り、カナンを征服し、所有するのを助けることでした(申命31: 1~8、ヨシ1:2~5参照)。

質問1

 ヨシュアのこれらの務めは私たちの霊的生活にどのようにあてはまりますか。クリスチャンの霊的目標はヨシュアやイスラエルのそれとどのように比べることができますか。エペ6:12、ヘブ4:8~11

ヨシュアの目標は私たちの霊的な目標の対型です。私たちの目標は約束の地と恵みの安息に入ることであり、霊的な敵と戦うことです。それは、霊的な遺産を受け継ぎ、信仰生活において勝利するためです。

質問2

 神の戦略における第1の要素は何ですか。ヨシュアが指導者になった時、この命令は何回繰り返されていますか。それが繰り返されたのはなぜですか。申命31:7,23、ヨシ1:5,7,9

イスラエルの指導者としてのヨシュアの新しい責任は、ほとんど彼を圧倒するばかりでした。彼はイスラエルを導いてヨルダンを渡り、城壁に囲まれた町々を征服し、巨人たちを倒すことができるのでしょうか。彼はカナンの地を征服することができるのでしょうか。

「ヨシュアは、彼の前にある仕事のことを考えたときに、大きな不安と自己に対する不信感をいだいた」(『人類のあけぼの』下巻100ページ)。その時、「強く、また雄々しくあれ」という命令が与えられました。これは、「しっかりせよ、勇気を持て、自信を持て、大胆であれ」という意味です。ヨシュアはこの命令をモーセから2回、主ご自身から3回、民から1回、与えられています-「強く、また雄々しくあれ」。

これは霊的勝利に欠かせない条件の一つです。しかし、この主の言葉はまた助けについての約束であり、主に信頼するようにという命令です。神が私たちに何かを要求される時には、つねにそれを達成する力を与えてくださいます。

神の約束に対する不動の確信(ヨシ1:3~6,9)

質問3 

ひるまない勇気を持ち続ける秘訣は何ですか。ヨシ1:3~6,9,申命31:6~8,23

神の戦略の第2の要素は神の約束に信頼することです。雄々しくあれという神の命令にはいつでも、神の約束が伴っていました。神はただ積極思考の力によって大胆であれと私たちに言われるのではありません。この勇気は私たち自身から来るものではなく、むしろ神の確かな約束に信頼することから来るものです。

神の約束に信頼することによって、ヨシュアはひるむことのない勇気を与えられました。ヨルダン川はイスラエルの前で分かれ、エリコの城壁は彼らの叫び声によって崩れました。主が約束されたようにイスラエルのために戦われたので、敵は恐怖におののき、敗走

ヨシュアは勝利の戦いの後に、神の確かな約束をあかしすることができました(ヨシ21 :43~45参照)。エレン・ホワイトも繰り返し、勇気を神の約束に信頼することと関連づけています。「私はもういちど言う。勇気を出しなさい。主に信頼しなさい。敵に約束を奪われるようなことがあってはならない」(『教会へのあかし』第2巻593ページ)。

質問4

 ヨシュアに与えられた神の約束はどんな意味で私たちにもあてはまりますか。ヨシ1:5、ヘブ13:5,6

質問5 

失望に対する確かな解毒剤としての神の尊い約束に心をとめてください(Ⅱペテ1:2~4参照)。ある人の計算によれば、聖書には3500以上の約束が記されています。それらは私たちのあらゆる必要にかなったものです。

質問6

私たちはどのようにして聖書の約束を求めるべきですか。あなたはたえず神の約束を求めていますか。

エレン・ホワイトは神の約束を求める上で欠かせない三つの段階について述べています。

1.神の約束された賜物を求める(マタ21 :22参照)。

2.それが与えられることを信じる(マタ11 :24参照)。

3.それが与えられたことを神に感謝する(ヨハ11 :41、Iテサ5:18)。 (「教育』305ページ参照)

神のみ心に対する全的献身(ヨシ1:7)

質問7

霊的戦いに勝利するための神の第3の秘訣は何ですか。ヨシ1:7

ヨシュア記は神のみ心に全的に献身する時に与えられる神の祝福についてあかししています。

「イスラエルの指揮官ヨシュアは、モーセが神から与えられた教え、つまり神の要求、叱責、制限を忠実に記録している書を熱心に調べた。軽率に行動することがないためである。ヨシュアは自分自身の衝動と知恵に信頼することを恐れていた」(『SDA聖書注解』第2巻993,994ページ、エレン・G・ホワイト注)。

注目すべきことに、モーセの死後すぐ、に、ヨシュアと民はモーセの諸書を神の言葉として受け入れています。

質問8 

ヨシュア記に記されている次の出来事について調べてください。民が神のみ心に従った時、何が起こりましたか。従わなかった時はどうでしたか。

「アカンの罪は、国民全体を不幸にした。ひとりの罪をさがし出してそれを取り除くまで、神の怒りは教会の上にとどまる。教会が最も恐れなければならない勢力は、公然と攻撃する反対者や、無神論者や、神を汚す者などではなくて、キリストを信じるといいながら、矛盾した生活を送る人々である。イスラエルの神の祝福をさえぎり、神の民を弱めるのは、このような人々なのである」(『人類のあけぼの」下巻121ページ)。

この書のクライマックス(ヨシ24 : 15)には、断固とした立場を取るようにという、聖書における最も雄弁な勧告の一つが述べられています。「あなたがたの仕える者を、きょう、選びなさい」。

不断の交わり(ヨシ1:8、詩1)

質問9

霊的戦いに勝利する戦略の第4の要素は何ですか。ヨシ1:8

私たちは自分自身の力で神のみ心に完全に従うことはできません。ヨシュア記l:8にあるように、神のみ言葉を瞑想することと服従との間には密接な関係があります。

質問10

 真のクリスチャンの瞑想について理解を深めるために、次の質問に答えてください。ヨシ1:8、詩1、ヨシ24:1~8

瞑想とは何ですか。

瞑想の主題は何ですか。

どんな心構えが必要ですか。

個人化の秘訣は何ですか。

ヨシュア記1:8の「思い」という言葉は「ため息をつく」という意味です。無意識のうちに「ああ」という満足のため息が出るまでに神のみ言葉を繰り返し学ぶヨシュアの姿が目に浮かびます。これは継続的な経験でなければなりません。寝る時も起きる時も絶えずそれを思い巡らすようになるまでに、聖句を暗唱すべきです。

聖書で言われている瞑想とは、東洋の宗教に見られる神秘的体験や内省とは異なります。私たちは聖書とキリストについて瞑想しなければなりません。神によって選ばれた時、ヨシュアがすぐにみ言葉に目を向けていることに注目してください。

ヨシュア記24章には、聖書を自分に適用するための原則が示されています。あなた自身の名前に置き換えて読んでください。聖書の出来事があなたの身の上に起きたと考えてください。

大いなる勝利(ヨシ1:9―18)

今回学んだ勝利のための四重の戦略について復習してください。この戦略に従う者たちに、素晴らしい約束が与えられています。「そうするならば、あなたの道は栄え、あなたは勝利を得るであろう」(ヨシAl :8)。神は言われることを実行されるでしょうか。私たちは神の言葉をそのまま受け取ってよいのでしょうか。

「主はこの世界においてなされるべき大切な働きを持っておられる。主はすべての人に彼がなすべきご自分の働きを与えておられる。しかし、人は人を自分の案内人とすべきではない。迷わされることのないためである。これはつねに危険なことである。聖書の宗教は奉仕活動の原則を明示しているが、同時にあらゆる知恵の源泉である神から日ごとに知恵を求める必要がある」(「SDA聖書注解」第2巻993ページ、エレン・G・ホワイト注)。

質問11 

ヨシュアが直ちに神の戦略を用いたことがどこからわかりますか。ヨシ1:10~18(5:13~15比較)

神が共にいてくださるという約束が与えられると、ヨシュアはすぐ、に行動します。彼は自分の生涯に対する神のみ心を最終的なものとして受け入れ、疑うことなく、神の目的を遂行するための計画を実行に移します。ヨシュアは明らかに生ける神と出会いました。その結果、彼はイスラエルが神の計画を遂行するのを助ける用意ができました。

「神から何か特別な任務に召される時、人々はしばしばそれを疑いがちである。……私たちはしばしば、手品師が象牙の玉を扱うように、神の召しを空中に浮かせたままにしている。……もし価値ある者になりたければ、ひとたび幻が与えられたなら、それに従って行動しなければならない。私たちは自分の幻においてではなく、与えられた幻によって生きるように命じられている」(『インタープリターズ・バイブル』第2巻557ページ)。

質問12 

この戦略によって互いに相手を高め合うためにはどうしたらよいですか。

質問13

 ヨシュア記1章に基づいて勝利を定義するとどうなりますか。この定義はあなたの生活の中で実際に生かされていますか。

まとめ

霊的戦いにおいて勝利するための神の確かな戦略には、四つの重要な要素が含まれています。(1)ひるまない勇気、(2)神の約束に対する不動の確信、(3)神のみ心に対する全的な服従、(4)神との不断の交わりとみ言葉についての瞑想。

*本記事は、安息日学校ガイド1995年2期『神の安息に入る ヨシュア記』からの抜粋です。

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