ザアカイ

目次

どんな人?

徴税人のリーダー。イエス・キリストと出会い、人生が変わりました。

聖書箇所:ルカ19:1-10

ストーリー

徴税人(徴税請負人)

徴税請負人とは、5年分の徴税権を競売によって国家から先に買い取り、徴税を行う人のことです。聖書では「徴税人」としていられています。

5年分の徴税権を買い取らなければならないため、この仕事には莫大な資金力が必要とされました。そのため、徴税人たちは会社のようなものをつくり、出資し合っていきました。さらに、徴税請負会社ともいうべきこの組織は直接徴税することなく、現地の下請け徴税請負人を雇うようになります。こうして、人々はローマ帝国への課税だけでなく、徴税請負会社と下請け徴税請負からのマージンを取られ、苦しむこととなっていくのです[1]

この徴税請負制度の最大の欠点は、「徴税請負人の権力が肥大化していく」ということです[2]

大村大次郎『脱税の世界史』

徴税人はユダヤ人でありながら、ローマ帝国のために働いているばかりか、規定以上に取り立てては自分のものにしていたため、人々から嫌われていました。

暴君として名高い皇帝ネロでさえも、徴税請負人の不正の是正を課題にあげていくほどに、この制度はローマ帝国の悩みのタネでした[3]

古代ローマ帝国の末期には、徴税請負人の不正が猖獗を極め、帝国内のあちこちで叛乱が起きました。それが古代ローマ帝国の崩壊につながるのです[4]

大村大次郎『脱税の世界史』

ザアカイは、エリコにおける徴税人のリーダーでした。そのために、周りの人からは「罪深い男」と呼ばれることになったのです(ルカ19:7)。

キリストと出会う

ザアカイのいるエリコに、キリストが来ます。キリストの姿を見ようとしたザアカイは、いちじく桑の木に登りました。すると、キリストが近づいて来て、ザアカイに言葉をかけ、彼の家に泊めてもらうように頼むのです。キリストの優しさに触れたザアカイは、回心し、貧しい人に施すこと、そしてだまし取っていた分を4倍にして返すことを約束するのでした。

もっと知りたい

物語直前のルカによる福音書18章では、「徴税人」や「金持ち」が登場します。比較して読んでみると、面白いかもしれません。

参考文献

新聖書大辞典(いのちのことば社)

新共同訳聖書辞典(キリスト新聞社)

Horn, S. H. (1979). In The Seventh-day Adventist Bible Dictionary (p. 584). Review and Herald Publishing Association.

Easton, M. G. (1893). In Illustrated Bible Dictionary and Treasury of Biblical History,

Biography, Geography, Doctrine, and Literature (p. 376). New York: Harper & Brothers.

[1]大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.563-576). Kindle 版.

[2]大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.566). Kindle 版.

[3]大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.587-593). Kindle 版.

[4]大村大次郎. 脱税の世界史 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.42-44). Kindle 版.

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