あなたは何者なのか？
1:7やがて人々は互に言った、「この災がわれわれに臨んだのは、だれのせいか知るために、さあ、くじを引いてみよう」。そして彼らが、くじを引いたところ、くじはヨナに当った。1:8そこで人々はヨナに言った、「この災がだれのせいで、われわれに臨んだのか、われわれに告げなさい。あなたの職業は何か。あなたはどこから来たのか。あなたの国はどこか。あなたはどこの民か」。 1:9ヨナは彼らに言った、「わたしはヘブルびとです。わたしは海と陸とをお造りになった天の神、主を恐れる者です」。ヨナ1:7―9(口語訳)
焦りから、人々は矢継ぎ早に質問をヨナに浴びせ、ヨナの宗教的背景を探ろうとしていきます。
こうして、人々に質問攻めにされたヨナはついに、自らのアイデンティティを話さざるを得なくなりました。
神の使命に困難を覚え、そこから逃げ出したにもかかわらず、彼はここでフェニキアの人々にメッセージを伝えていくのです。
主を恐れる
1:10そこで人々ははなはだしく恐れて、彼に言った、「あなたはなんたる事をしてくれたのか」。人々は彼がさきに彼らに告げた事によって、彼が主の前を離れて、のがれようとしていた事を知っていたからである。1:11人々は彼に言った、「われわれのために海が静まるには、あなたをどうしたらよかろうか」。それは海がますます荒れてきたからである。 1:12ヨナは彼らに言った、「わたしを取って海に投げ入れなさい。そうしたら海は、あなたがたのために静まるでしょう。わたしにはよくわかっています。この激しい暴風があなたがたに臨んだのは、わたしのせいです」。ヨナ1:10(口語訳)
人々が恐れたことからも、異教の神々を信仰していたとはいえ、とても信仰深い人々であったことがわかります。
そして、彼らは主に呼ばわり、み心に従って、ヨナを海へと投げ入れていきます（ヨナ1:14）。
預言者であるヨナが主を「恐れなかった」にもかかわらず、異教徒の乗組員たちは主を「恐れて」いきました。その主を恐れた人々がヨナを海へと投げ入れると、海は穏やかになっていきます。この嵐の出来事は彼らが主を恐れるようになるには、十分すぎる経験となりました。
この当時、本物の神の力は海を支配できると信じられていました。だからこそ、ヨナをなげいれた途端に静まった海を見て、彼らは主を恐れるものへと変えられていったのでした。
人々の心を動かしたもの
人々が心を動かされたのは、ヨナの品性によってではありませんでした。彼らはヨナの中に特別な美徳を見てはいませんし、またヨナがどのような経歴の持ち主であるかも理解していませんでした。ヨナと彼らとの間に交流がほとんどなかったことは、「あなたはどこから来たのか」(ヨナ1:8)という質問からも明らかです。
しかし、ヨナがどのような状態であったとしても、神はヨナを通して働かれました。人々が神を知ることができたのは、皮肉なことにヨナのおかげだったのです。
神はどのような状態の人であったとしても、働かれることができます。神の働きは、人の力ではなく、神の力によって進んでいくのです。