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1:15「王妃ワシテは、アハシュエロス王が侍従をもって伝えた命令を行わないゆえ、法律に従って彼女にどうしたらよかろうか」。1:16メムカンは王と大臣たちの前で言った、「王妃ワシテはただ王にむかって悪い事をしたばかりでなく、すべての大臣およびアハシュエロス王の各州のすべての民にむかってもしたのです。 1:17王妃のこの行いはあまねくすべての女たちに聞えて、彼らはついにその目に夫を卑しめ、『アハシュエロス王は王妃ワシテに、彼の前に来るように命じたがこなかった』と言うでしょう。 1:18王妃のこの行いを聞いたペルシャとメデアの大臣の夫人たちもまた、今日、王のすべての大臣たちにこのように言うでしょう。そうすれば必ず卑しめと怒りが多く起ります。 1:19もし王がよしとされるならば、ワシテはこの後、再びアハシュエロス王の前にきてはならないという王の命令を下し、これをペルシャとメデアの法律の中に書きいれて変ることのないようにし、そして王妃の位を彼女にまさる他の者に与えなさい。 1:20王の下される詔がこの大きな国にあまねく告げ示されるとき、妻たる者はことごとく、その夫を高下の別なく共に敬うようになるでしょう」。 1:21王と大臣たちはこの言葉をよしとしたので、王はメムカンの言葉のとおりに行った。 1:22王は王の諸州にあまねく書を送り、各州にはその文字にしたがい、各民族にはその言語にしたがって書き送り、すべて男子たる者はその家の主となるべきこと、また自分の民の言語を用いて語るべきことをさとした。エステル1:15―22(口語訳)
ワシテに対する裁き
ワシュティ(ワシテ)が王命に背いた時に、王は法律によって対処しようとし、側近たちはこの問題を国全体の問題として取り扱っていきます。
そこには少なからず、勢力争いの影を見ることができます。王妃の影響力を削いで、自分たちの影響力を増そうと考えたのかもしれません。
その結果、王妃は再び王の前にきてはならないという命令が下され、これをメド・ペルシャの法律の中に書き入れられました。
力によって従わせる
王の下される詔がこの大きな国にあまねく告げ示されるとき、妻たる者はことごとく、その夫を高下の別なく共に敬うようになるでしょう。エステル1:20(口語訳)
「高下の別なく」は、新改訳2017では「身分の高い者から低い者に至るまで」と訳されていますが、原語を見ると「年老いたものから若いものまで」というニュアンスも見られます。
いずれにしても、どのような男性に対しても敬うことを期待してのものであることを示唆しています。
王は酒によって、このような愚かな決断をしていきました。そして、妻に自分たちを崇めさせ、従わせることを目的とした法律を制定し、自己称揚に浸っていくのです。
この姿は黙示録に出てくる獣に非常に似ています(黙示録13:15-17)。どちらも、自分の利益や思惑を優先させるために、自らの価値を自分で押し上げ、人からの賞賛を得ようとするのです。
わたしたちも、自分の利益や思惑を優先させるときに愚かな選択をしてしまうことがあるのではないでしょうか。
自分の思いどおりに物事を動かそうとするときに、そこには力が働きます。強い口調、強引な推し進め方、人の意見を聞かず、時には高圧的な態度をとってしまいます。
わたしたちが自分の計画やビジョン、「こうしたい」という思いを持ったとき、同時にわたしたちが力を振りかざしていないかを常に確認する必要があります。