第1課 神は信頼できるのか?

目次

信頼関係を育む

2009年、アメリカ人のあるビジネスパーソンが懲役150年の刑を言い渡されました。彼の運営する資産管理会社が、何千人もの人々から何十億ドルという大金をだまし取っていたことが発覚したからです。人々は、自分が苦労して稼いだお金が円滑に運用されていると期待していましたが、その信頼は見事に裏切られてしまいました。

日々の暮らしの中で、「信頼できる」ことはとても重要です。荷物が指定した時間に到着すること、商品の不具合にメーカーが誠心誠意対応してくれること、銀行ATMで現金を引き出すときには、自分の口座からきちんと引き出されること。わたしたちはあたりまえのようにそれらを信じていますが、信頼がなければわたしたちの生活は成り立ちません。

それでは、神と聖書は信頼できるものでしょうか? もし、わたしたちが神と直接、顔を合わせて会うことができないならば、神はどのようにして人間と信頼関係を育もうとしているのでしょうか。

「聖書は信頼できない。偽りである」という主張に対し、神は聖書が歴史的に真実であり、正確であり、信頼に値するものであることを示す必要があります。まさに神は聖書の中で、それを示しているのです。

神が信頼できる理由

神が信頼に値することを、聖書はどのように示していますか?

いにしえよりこのかたの事をおぼえよ。わたしは神である、わたしのほかに神はない。わたしは神である、わたしと等しい者はない。わたしは終りの事を初めから告げ、まだなされない事を昔から告げて言う、「わたしの計りごとは必ず成り、わが目的をことごとくなし遂げる」と。

イザヤ書46章9―10節

神を信頼できる証拠として、神が将来の出来事を預言する力をもっていることを聖書は示しています。

夢を見たネブカデネザル王

ネブカデネザルの物語の中で、聖書は神が信頼できるお方であることをどのように示していますか?

ネブカデネザルの治世の第二年に、ネブカデネザルは夢を見、そのために心に思い悩んで眠ることができなかった。

ダニエル書2章1節

ある夜、バビロンの王ネブカデネザル王は夢に悩まされていました。床に伏していたときに、何か重要な夢を見た気がしましたが、詳細を思い出すことができず、また夢の意味も理解できなかったのです。

ネブカデネザルの物語の全文はこちらから
ダニエル書2章1節ー49節(口語訳)

2:1ネブカデネザルの治世の第二年に、ネブカデネザルは夢を見、そのために心に思い悩んで眠ることができなかった。 2:2そこで王は命じて王のためにその夢を解かせようと、博士、法術士、魔術士、カルデヤびとを召させたので、彼らはきて王の前に立った。 2:3王は彼らにむかって、「わたしは夢を見たが、その夢を知ろうと心に思い悩んでいる」と言ったので、 2:4カルデヤびとらはアラム語で王に言った、「王よ、とこしえに生きながらえられますように。どうぞしもべらにその夢をお話しください。わたしたちはその解き明かしを申しあげましょう」。 2:5王は答えてカルデヤびとに言った、「わたしの言うことは必ず行う。あなたがたがもしその夢と、その解き明かしを、わたしに示さないならば、あなたがたの身は切り裂かれ、あなたがたの家は滅ぼされる。 2:6しかし、その夢とその解き明かしとを示すならば、贈り物と報酬と大いなる栄誉とを、わたしから受けるだろう。それゆえその夢とその解き明かしとを、わたしに示しなさい」。 2:7彼らは再び答えて言った、「王よ、しもべらにその夢をお話しください。そうすればわたしたちはその解き明かしを示しましょう」。 2:8王は答えて言った、「あなたがたはわたしが言ったことは、必ず行うことを承知しているので、時を延ばそうとしているのを、わたしは確かに知っている。 2:9もしその夢をわたしに示さないならば、あなたがたの受ける刑罰はただ一つあるのみだ。あなたがたは一致して、偽りと、欺きの言葉をわたしの前に述べて、時の変るのを待とうとしているのだ。まずその夢をわたしに示しなさい。そうすれば、わたしはあなたがたがその解き明かしをも、示しうることを知るだろう」。 2:10カルデヤびとらは王の前に答えて言った、「世の中には王のその要求に応じうる者はひとりもありません。どんな大いなる力ある王でも、このような事を、博士、法術士、カルデヤびとに尋ねた者はありませんでした。 2:11王の尋ねられる事はむずかしい事であって、肉なる者と共におられない神々を除いては、王の前にこれを示しうる者はないでしょう」。

2:12これによって王は怒り、かつ大いに憤り、バビロンの知者をすべて滅ぼせと命じた。 2:13この命令が発せられたので、知者らは殺されることになった。またダニエルとその同僚をも殺そうと求めた。 2:14そして王の侍衛の長アリオクが、バビロンの知者らを殺そうと出てきたので、ダニエルは思慮と知恵とをもってこれに応答した。 2:15すなわち王の高官アリオクに「どうして王はそんなにきびしい命令を出されたのですか」と言った。アリオクがその事をダニエルに告げ知らせると、 2:16ダニエルは王のところへはいっていって、その解き明かしを示すために、しばらくの時を与えられるよう王に願った。

2:17それからダニエルは家に帰り、同僚のハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤにこの事を告げ知らせ、 2:18共にこの秘密について天の神のあわれみを請い、ダニエルとその同僚とが、他のバビロンの知者と共に滅ぼされることのないように求めた。 2:19ついに夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた。

2:20ダニエルは言った、

「神のみ名は永遠より永遠に至るまでほむべきかな、
知恵と権能とは神のものである。
2:21神は時と季節とを変じ、
王を廃し、王を立て、
知者に知恵を与え、
賢者に知識を授けられる。
2:22神は深妙、秘密の事をあらわし、
暗黒にあるものを知り、
光をご自身のうちに宿す。
2:23わが先祖たちの神よ、
あなたはわたしに知恵と力とを賜い、
今われわれがあなたに請い求めたところのものをわたしに示し、
王の求めたことをわれわれに示されたので、
わたしはあなたに感謝し、あなたをさんびします」。

2:24そこでダニエルは、王がバビロンの知者たちを滅ぼすことを命じておいたアリオクのもとへ行って、彼にこう言った、「バビロンの知者たちを滅ぼしてはなりません。わたしを王の前に連れて行ってください。わたしはその解き明かしを王に示します」。

2:25アリオクは急いでダニエルを王の前に連れて行き、王にこう言った、「ユダから捕え移した者の中に、その解き明かしを王にお知らせすることのできる、ひとりの人を見つけました」。 2:26王は答えて、ベルテシャザルという名のダニエルに言った、「あなたはわたしが見た夢と、その解き明かしとをわたしに知らせることができるのか」。 2:27ダニエルは王に答えて言った、「王が求められる秘密は、知者、法術士、博士、占い師など、これを王に示すことはできません。 2:28しかし秘密をあらわすひとりの神が天におられます。彼は後の日に起るべき事を、ネブカデネザル王に知らされたのです。あなたの夢と、あなたが床にあって見た脳中の幻はこれです。 2:29王よ、あなたが床におられたとき、この後どんな事があろうかと、思いまわされたが、秘密をあらわされるかたが、将来どんな事が起るかを、あなたに知らされたのです。 2:30この秘密をわたしにあらわされたのは、すべての生ける者にまさって、わたしに知恵があるためではなく、ただその解き明かしを、王にお知らせすることによって、あなたが心に思われたことを、お知りになるためです。

2:31王よ、あなたは一つの大いなる像が、あなたの前に立っているのを見られました。その像は大きく、非常に光り輝いて、恐ろしい外観をもっていました。 2:32その像の頭は純金、胸と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、 2:33すねは鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。 2:34あなたが見ておられたとき、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕きました。 2:35こうして鉄と、粘土と、青銅と、銀と、金とはみな共に砕けて、夏の打ち場のもみがらのようになり、風に吹き払われて、あとかたもなくなりました。ところがその像を撃った石は、大きな山となって全地に満ちました。

2:36これがその夢です。今わたしたちはその解き明かしを、王の前に申しあげましょう。 2:37王よ、あなたは諸王の王であって、天の神はあなたに国と力と勢いと栄えとを賜い、 2:38また人の子ら、野の獣、空の鳥はどこにいるものでも、皆これをあなたの手に与えて、ことごとく治めさせられました。あなたはあの金の頭です。 2:39あなたの後にあなたに劣る一つの国が起ります。また第三に青銅の国が起って、全世界を治めるようになります。 2:40第四の国は鉄のように強いでしょう。鉄はよくすべての物をこわし砕くからです。鉄がこれらをことごとく打ち砕くように、その国はこわし砕くでしょう。 2:41あなたはその足と足の指を見られましたが、その一部は陶器師の粘土、一部は鉄であったので、それは分裂した国をさします。しかしあなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、その国には鉄の強さがあるでしょう。 2:42その足の指の一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。 2:43あなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、それらは婚姻によって、互に混ざるでしょう。しかし鉄と粘土とは相混じらないように、かれとこれと相合することはありません。 2:44それらの王たちの世に、天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく、その主権は他の民にわたされず、かえってこれらのもろもろの国を打ち破って滅ぼすでしょう。そしてこの国は立って永遠に至るのです。 2:45一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と、青銅と、粘土と、銀と、金とを打ち砕いたのを、あなたが見られたのはこの事です。大いなる神がこの後に起るべきことを、王に知らされたのです。その夢はまことであって、この解き明かしは確かです」。

2:46そこでネブカデネザル王はひれ伏して、ダニエルを拝し、供え物と薫香とを、彼にささげることを命じた。 2:47そして王はダニエルに答えて言った、「あなたがこの秘密をあらわすことができたのを見ると、まことに、あなたがたの神は神々の神、王たちの主であって、秘密をあらわされるかただ」。 2:48こうして王はダニエルに高い位を授け、多くの大いなる贈り物を与えて、彼をバビロン全州の総督とし、またバビロンの知者たちを統轄する者の長とした。 2:49王はまたダニエルの願いによって、シャデラクとメシャクとアベデネゴを任命して、バビロン州の事務をつかさどらせた。ただしダニエルは王の宮にとどまっていた。

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ネブカデネザル王に仕える知者たちが夢の解き明かしをできなかったときに、王はどうしましたか?

カルデヤびとらは王の前に答えて言った、「世の中には王のその要求に応じうる者はひとりもありません。……」これによって王は怒り、かつ大いに憤り、バビロンの知者をすべて滅ぼせと命じた

ダニエル書2章10節,12節

神を信じる忠実なダニエルとその友人シャデラク、メシャク、アベデネゴ(別名ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤ)は、ネブカデネザルに仕える知者に含まれていました。王の命令は、ダニエルとその友人たちも殺害されることを意味していたのです。

王の命令を聞いたダニエルはどうしましたか?

それからダニエルは家に帰り、同僚のハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤにこの事を告げ知らせ、 共にこの秘密について天の神のあわれみを請い、ダニエルとその同僚とが、他のバビロンの知者と共に滅ぼされることのないように求めた。

ついに夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた。

ダニエル書 2章17―19節

王から夢を解き明かすための猶予をもらったダニエルは、神が王の見た夢を解き明かすことができると信じて祈ります。そして、神はダニエルの祈りに応えるのです。そうです、神はわたしたちの祈りにも応えられるのです。

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像の夢の解説

像の全体像

ダニエルは、王が何を見たと説明しましたか?

王よ、あなたは一つの大いなるが、あなたの前に立っているのを見られました。

ダニエル書2章31節

ネブカデネザル王は、さまざまな金属でできた巨大な像の夢を見たのでした。

その像は何でできていましたか?

その像の頭は純金、胸と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、すねは鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。

ダニエル書2章32―33節
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ネブカデネザル王が見た夢の巨大な像にどんなことが起きましたか?

あなたが見ておられたとき、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕きました。……ところがその像を撃った石は、大きな山となって全地に満ちました

ダニエル書2章34―35節

一つの不思議な石が、(金の頭ではなく)鉄と粘土でつくられている足の部分を打ち砕いたと、ダニエルは王に伝えます。この石は像に取って代わり、全地に満ちていくのでした。

バビロンの滅亡

金の頭は何をあらわしていましたか?

あなたはあの金の頭です。

ダニエル書2章38節

バビロン(新バビロニア王国)が滅びることは、当時はまったく考えられないことでした。かつて預言者イザヤが「黄金の都市」(イザヤ書14章4節KJV)と言いあらわしたほどに、バビロンは豊かな国だったのです。

街を囲む城壁の高さは60m近くあり、その幅は2台の馬車が並べるほどでした。門は堅固な真ちゅうでできており、まさに国中が無限の富であふれているようだったのです。市中にはユーフラテス川が流れ、そのまわりは木々の緑が美しく、バビロンの繁栄は疑いようもありませんでした。

ダニエルは、バビロンに何が起きると預言しましたか? 

あなたの後にあなたに劣る一つの国が起ります。

ダニエル書 2章39節

注目すべきは、「バビロンはバビロンより劣る国によって滅ぼされる」とダニエルが預言したところです。神はイザヤ書13章19―20節で、バビロンは滅ばされ、再び人が住むことはないと述べています。

バビロン(新バビロニア王国)は紀元前605年から539年の間、世界を支配しましたが、銀の胸と腕であらわされているメド・ペルシャ(アケメネス朝ペルシャ)に滅ぼされていきます(バビロンの滅亡については、ダニエル書5章を読んでください)。

バビロンが滅びる150年以上も前に、預言者イザヤはクロスという人物がバビロンを滅ぼすと預言していましたが(イザヤ書45章1―2節)、実際にそのとおりになったのでした。

バビロン滅亡の物語の全文はこちら
ダニエル書5章1節ー31節(口語訳)

5:1ベルシャザル王は、その大臣一千人のために、盛んな酒宴を設け、その一千人の前で酒を飲んでいた。

5:2酒が進んだとき、ベルシャザルは、その父ネブカデネザルがエルサレムの神殿から取ってきた金銀の器を持ってこいと命じた。王とその大臣たち、および王の妻とそばめらが、これをもって酒を飲むためであった。 5:3そこで人々はそのエルサレムの神の宮すなわち神殿から取ってきた金銀の器を持ってきたので、王とその大臣たち、および王の妻とそばめらは、これをもって飲んだ。 5:4すなわち彼らは酒を飲んで、金、銀、青銅、鉄、木、石などの神々をほめたたえた。

5:5すると突然人の手の指があらわれて、燭台と相対する王の宮殿の塗り壁に物を書いた。王はその物を書いた手の先を見た。 5:6そのために王の顔色は変り、その心は思い悩んで乱れ、その腰のつがいはゆるみ、ひざは震えて互に打ちあった。 5:7王は大声に呼ばわって、法術士、カルデヤびと、占い師らを召してこさせた。王はバビロンの知者たちに告げて言った、「この文字を読み、その解き明かしをわたしに示す者には紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけさせて、国の第三のつかさとしよう」と。 5:8王の知者たちは皆はいってきた。しかしその文字を読むことができず、またその解き明かしを王に示すことができなかったので、 5:9ベルシャザル王は大いに思い悩んで、その顔色は変り、王の大臣たちも当惑した。

5:10時に王妃は王と大臣たちの言葉を聞いて、その宴会場にはいってきた。そして王妃は言った、「王よ、どうか、とこしえに生きながらえられますように。あなたは心に思い悩んではなりません。また顔色を変えるには及びません。 5:11あなたの国には、聖なる神の霊のやどっているひとりの人がおります。あなたの父の代に、彼は、明知、分別および神のような知恵のあることをあらわしました。あなたの父ネブカデネザル王は、彼を立てて、博士、法術士、カルデヤびと、占い師らの長とされました。 5:12彼は、王がベルテシャザルという名を与えたダニエルという者ですが、このダニエルには、すぐれた霊、知識、分別があって、夢を解き、なぞを解き、難問を解くことができます。ゆえにダニエルを召しなさい。彼はその解き明かしを示すでしょう」。

5:13そこでダニエルは王の前に召された。王はダニエルに言った、「あなたは、わが父の王が、ユダからひきつれてきたユダの捕囚のひとりなのか。 5:14聞くところによると、あなたのうちには、聖なる神の霊がやどっていて、明知、分別および非凡な知恵があるそうだ。 5:15わたしは、知者、法術士らを、わが前に召しよせて、この文字を読ませ、その解き明かしを示させようとしたが、彼らは、この事の解き明かしを示すことができなかった。 5:16しかしまた聞くところによると、あなたは解き明かしをなし、かつ難問を解くことができるそうだ。それで、あなたがもし、この文字を読み、その解き明かしをわたしに示すことができたなら、あなたに紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけさせて、この国の第三のつかさとしよう」。

5:17ダニエルは王の前に答えて言った、「あなたの賜物は、あなたご自身にとっておき、あなたの贈り物は、他人にお与えください。それでも、わたしは王のためにその文字を読み、その解き明かしをお知らせいたしましょう。 5:18王よ、いと高き神はあなたの父ネブカデネザルに国と権勢と、光栄と尊厳とを賜いました。 5:19彼に権勢を賜わったことによって、諸民、諸族、諸国語の者はみな、彼の前におののき恐れました。彼は自分の欲する者を殺し、自分の欲する者を生かし、自分の欲する者を上げ、自分の欲する者を下しました。 5:20しかし彼は心に高ぶり、かたくなになり、ごうまんにふるまったので、王位からしりぞけられ、その光栄を奪われ、 5:21追われて世の人と離れ、その思いは獣のようになり、そのすまいは野ろばと共にあり、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、こうしてついに彼は、いと高き神が人間の国を治めて、自分の意のままに人を立てられるということを、知るようになりました。 5:22ベルシャザルよ、あなたは彼の子であって、この事をことごとく知っていながら、なお心を低くせず、 5:23かえって天の主にむかって、みずから高ぶり、その宮の器物をあなたの前に持ってこさせ、あなたとあなたの大臣たちと、あなたの妻とそばめたちは、それをもって酒を飲み、そしてあなたは見ることも、聞くことも、物を知ることもできない金、銀、青銅、鉄、木、石の神々をほめたたえたが、あなたの命をその手ににぎり、あなたのすべての道をつかさどられる神をあがめようとはしなかった。

5:24それゆえ、彼の前からこの手が出てきて、この文字が書きしるされたのです。 5:25そのしるされた文字はこうです。メネ、メネ、テケル、ウパルシン。 5:26その事の解き明かしはこうです、メネは神があなたの治世を数えて、これをその終りに至らせたことをいうのです。 5:27テケルは、あなたがはかりで量られて、その量の足りないことがあらわれたことをいうのです。 5:28ペレスは、あなたの国が分かたれて、メデアとペルシャの人々に与えられることをいうのです」。

5:29そこでベルシャザルは命じて、ダニエルに紫の衣を着せ、金の鎖をその首にかけさせ、彼について布告を発して、彼は国の第三のつかさであると言わせた。

5:30カルデヤびとの王ベルシャザルは、その夜のうちに殺され、 5:31メデアびとダリヨスが、その国を受けた。この時ダリヨスは、おおよそ六十二歳であった。

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ローマの台頭と崩壊

メド・ペルシャに取って代わる第三の王国は、何の金属であらわされていましたか?

また第三に青銅の国が起って、全世界を治めるようになります。

ダニエル書2章39節

紀元前331年のアルベラの戦いで、(青銅のよろいで知られる)ギリシャの軍隊を率いたアレキサンダー大王はメド・ペルシャ(アケメネス朝ペルシャ)に勝利しました。

アレキサンダー大王がダニエルの預言を通して、自らの運命を理解していたことについて、ユダヤ人の歴史家ヨセフスが記録しています(ヨセフス『ユダヤ古代誌』第11巻8章)。

第四の王国は、何の金属であらわされていましたか?

第四の国は鉄のように強いでしょう。

ダニエル書 2章40節

鉄の君主国ローマは、紀元前168年にギリシャを征服しました。ローマはキリストが生きていた時代にも統治しており、この超大国は600年以上にわたって支配します。長い足であらわされたこの時代は、結果として神の民(クリスチャン)に迫害をもたらしていくことになってしまいました。

ローマ帝国の崩壊を、この預言はどのように説明していますか?

あなたはその足と足の指を見られましたが、その一部は陶器師の粘土、一部は鉄であったので、それは分裂した国をさします。……その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。

ダニエル書2章41―42節

ローマ帝国はこれまでの国々とは異なり、ほかの世界帝国に取って代わられることはありませんでした。そして、ネブカデネザル王の夢に出てきた像の指にあらわされていたように、いくつもの国々に分裂していきます。紀元476年には、次々と侵略してきた他民族によって国は征服され、そのうちの10民族によって現代のヨーロッパの基盤がつくられたのでした。

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ヨーロッパが再び一つになる可能性はあるのでしょうか?

あなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、それらは婚姻によって、互に混ざるでしょう。しかし鉄と粘土とは相混じらないように、かれとこれと相合することはありません

ダニエル書2章43節

多くの政治的、軍事的指導者がヨーロッパ統一をもくろみましたが、誰ひとりそれを達成することはありませんでした。聖書に預言されているとおり、今後も達成されることはないでしょう。

具体的には、カール大帝やナポレオン、ヴィルヘルム2世、ヒトラーなどがヨーロッパを統一しようとしましたが、その試みはすべて失敗に終わりました。ヨーロッパ連合(EU)でさえも、ヨーロッパを統一することはできていません。

第二次世界大戦中、ダニエル書2章の預言を根拠に、「ヒトラーは決してヨーロッパを統一できないだろう」とイギリス人の説教者たちが語り、人々を惹きつけました。そしてたしかに、歴史は彼らのメッセージのとおりになったのです。

最後の王国

歴史上最後の王国を建てるのは誰でしょうか?

それらの王たちの世に、天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく……。

ダニエル書2章44節

「人手によらず切り出された石」が、ネブカデネザル王の夢に出てきた像を打ち砕き、「全地を満たす」偉大な王国になるとダニエルは説明しました(ダニエル書2章34―35節)。

像を打ち砕いた石は、再臨のときに地上の王国を取り除くキリストをあらわしています(再臨とは目に見える形で、もう一度キリストがこの地球に戻ってこられることです)。石や岩は、キリストの象徴としてしばしば用いられる表現です(詩篇89篇26節、マタイによる福音書16章18節)。

イスラエルのために打たれ、水がほとばしり出た岩や、モーセが身を隠した岩、賢い人が家を建てた岩などによって、キリストは聖書の中で象徴されているのです(出エジプト記17章6節、出エジプト記33章22節、マタイによる福音書7章24節)。

さらにコリント人への第一の手紙10章4節には、次のように書かれています。「彼らについてきた霊の岩から飲んだのであるが、この岩はキリストにほかならない」。

アメリカや中国、あるいはイスラエルによってではなく、キリストが自らの王国を建て、世界を支配すると、聖書は預言しています。第五の世界帝国は、王の王によって統治され、その平和の王国は永遠に続くのです。

神が王国を建てるとき、地上の国々はどうなるでしょうか?

これは……これらのもろもろの国を打ち破って滅ぼすでしょう。

ダニエル書2章44節

石が像の足を打ち崩すのは、諸国が分裂している時代にキリストが再臨することを示しています。この世の国々は打ち倒されるのです。これまでの預言が完全に成就したように、キリストはまもなく再臨し、永遠の王国が誕生することでしょう。

ネブカデネザル王は、ダニエルが夢の意味を明らかにしたとき、ダニエルが信じる神について何と言いましたか?

まことに、あなたがたの神は神々の神、王たちの主であって、秘密をあらわされるかただ。

ダニエル書2章47節

ネブカデネザル王は、ダニエルの信じる神が、忘れてしまった夢を思い起こさせ、その夢を通して将来を預言し、最終的に地上を治めることを知ったときに、この神こそ真の神であると確信しました。

神は神秘のうちに働かれるだけでなく、秘密を明らかにする神でもあるからです。

聖書はどのようにできたのか

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神は、どのようにして人類に聖書を与えたのでしょうか。

聖書は、すべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である。それによって、神の人が、あらゆる良いわざに対して十分な準備ができて、完全にととのえられた者になるのである。

テモテへの第二の手紙3章16―17節

……人々が聖霊に感じ、神によって語った……。

ペテロの第二の手紙1章21節

神は聖書を書くようにと、人々の心に霊感を与えました。聖書の各書簡を書いた人々の心を動かし、神が心に印象付けた思いや願いを、その人自身の(人間の)言葉によって表現するようにしたのです。

聖書は旧約39巻と新約27巻、1,189の章と31,100の節で構成されています。

聖書は約1,500年にわたり、40名以上の人々によって書かれました。

現在まで、数々の考古学的な発見が、聖書の信ぴょう性を立証し続けています。キリスト自身も聖書を信じていました。エリヤやエリシャの働きと奇跡を信じ(ルカによる福音書4章25―27節)、ナアマンのハンセン病が奇跡的にいやされたこと(ルカによる福音書4章27節)やノアの洪水も、キリストは信じていました(マタイによる福音書24章37節)。

さらには、ダニエル書の預言が真実であることを認め(マタイによる福音書24章15節)、旧約聖書の聖句を多く引用したのです(マタイによる福音書22章37―39節、マルコによる福音書7章6節、ルカによる福音書4章18―19節、ヨハネによる福音書13章18節)。

3つの重要なポイント

  1. 究極的に、この世界を治めているのは神です。
  2. わたしたちは、この歴史の最後の時代に生きています。
  3. 神の新たな王国(天国)は、永遠に存続します。

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『新共同訳』 ©︎共同訳聖書実行委員会 ©︎日本聖書協会
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『新改訳2017』 ©2017 新日本聖書刊行会

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