第11課 黙示録にある千年期

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あとで理解する

アメリカのロードアイランド州に暮らすリンジーさんのもとに一人のピザ屋が訪れました。何気なく、ピザを受け取り、ドアを閉めようとすると、パッと2歳になる息子が飛び出します。

両手をあげてハグを求める2歳の男の子を、ピザを届けにきたライアンはしっかりと抱きしめ、微笑みを返しました。

この微笑ましい場面が家の防犯カメラに録画されていることに気づいたリンジーはさっそく、SNSにアップロード。すると、それに気づいたライアンがリンジーにメッセージを送ってきました。

そこで、彼女はライアンの思いがけない背景を知ることになりました。実はそのとき、ライアンは大切な娘を失い、精神的な病気に苦しんでいたのです。

リンジーにとっては、ただ可愛らしくて面白かった我が子のハグは、ライアンにとっては悲しみを慰める天使のように見えていました。

聖書は、今はわたしたちが見ている現実の意味がわからなくても、必ずあとで理解できることを約束しています。

その時のことをわたしたちは千年期と呼んでいます。今日はその千年期について学びましょう 。

サタンの堕落

キリストはサタンのことを何と呼んでいますか?

……彼は偽り者であり、偽りの父であるからだ。

ヨハネによる福音書8章44節

サタンの本質は偽り者です。エバを「決して死ぬことはない」とそそのかして、歴史上最初のうそをつきました。サタンは今も人類を欺き、神の品性を誤解させようとして働いています。

天の高い地位からサタンが堕落した原因は何でしょうか?

黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。あなたはさきに心のうちに言った、「わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、 雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう」。

イザヤ書14章12―14節

これほどの高い地位を与えられていながら、サタンは自己顕示欲のために自分ひとりへの崇拝を求めました。すべての人々の注目を、神ではなく自分に引き寄せたいと願ったのです。

サタンの支配が終わるとき

サタンは最終的に、すべての人から崇拝を受けることに成功しますか?

地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、その名を世の初めからしるされていない者はみな、この獣を拝むであろう

ヨハネの黙示録13章8節

サタンの支配が終わるのはいつですか?

またわたしが見ていると、ひとりの御使が、底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを手に持って、天から降りてきた。彼は、悪魔でありサタンである龍、すなわち、かの年を経たへびを捕えて千年の間つなぎおき

ヨハネの黙示録20章1―2節

聖書には、サタンは千年の間、つながれると書かれています。

千年の間、サタンはつながれ、地上を支配している間に人々から受けていた崇拝をもはや受けられなくなります。

「千年期(ミレニアム)」という言葉は、「千」を意味するラテン語のミル(mille)と「年」を意味するアヌス(annus)に由来しています。聖書には「千年期」という言葉こそ出てきませんが、はっきりと千年の期間について言及しています(ヨハネの黙示録20章に書かれている千年の期間)。

千年間、サタンがつながれた結果、何が起きますか?

そして、底知れぬ所に投げ込み、入口を閉じてその上に封印し、千年の期間が終るまで、諸国民を惑わすことがないようにしておいた。

ヨハネの黙示録20章3節

つながれている千年の間、サタンはまったく働くことができません。サタンは事実上、その働きを失い、「諸国民を惑わすこと」ができなくなるのです。

サタンがつながれる前に、どんなことが起きますか?

すなわち、主ご自身が天使のかしらの声と神のラッパの鳴り響くうちに、合図の声で、天から下ってこられる。その時、キリストにあって死んだ人々が、まず最初によみがえり、 それから生き残っているわたしたちが、彼らと共に雲に包まれて引き上げられ、空中で主に会い、こうして、いつも主と共にいるであろう。

テサロニケ人への第一の手紙4章16―17節

キリストが再び戻ってこられるとき、世界の国々は一掃され(ダニエル書2章44節)、救われた人々は復活して天に引き上げられます。同時にサタンは神によってつながれるのです。サタンはもはや、人々を誘惑することができません。

千年期の出来事

復活は何回ありますか?

このことを驚くには及ばない。墓の中にいる者たちがみな神の子の声を聞き、 善をおこなった人々は、生命を受けるためによみがえり、悪をおこなった人々は、さばきを受けるためによみがえって、それぞれ出てくる時が来るであろう。

ヨハネによる福音書5章28―29節

キリストが戻ってこられ、千年期の始まるときに、「永遠の命に至る復活」があります。そして千年期の終わりには「裁きのための復活」があるとヨハネの黙示録に書かれています。

千年期の間、救われた人々はどこにいると聖書は述べていますか?

彼らは生きかえって、キリストと共に千年の間、支配した。

ヨハネの黙示録20章4節

あなたがたのために、場所を用意しに行くのだから。……またきて、あなたがた をわたしのところに迎えよう。わたしのおる所にあなたがたもおらせるためである。

ヨハネによる福音書14章2―3節

救われた人々は、キリストと共に天において過ごすと聖書は述べています。救われた人々は千年の間、神のもとで過ごすのです。

救われた人々が天において千年期を過ごすのであれば、ほかの残された人々はどこにいるのですか?

そして、山と岩とにむかって言った、「さあ、われわれをおおって、御座にいますかたの御顔と小羊の怒りとから、かくまってくれ。 御怒りの大いなる日が、すでにきたのだ。だれが、その前に立つことができようか」。

ヨハネの黙示録6章16―17節

それ以外の死人は、千年の期間が終るまで生きかえらなかった。

ヨハネの黙示録20章5節

キリストが再び戻ってこられたとき、キリストの救いを受け入れなかった人々は滅ぼされます。ヨハネの黙示録20章5節によれば、彼らは千年期のあとにもう一度よみがえると書かれています。

反逆した人々にはどのようなことが起こると聖書は説明していますか?

しかし、主の日は盗人のように襲ってくる。その日には、天は大音響をたててくずれ、天体は焼けてくずれ、地とその上に造り出されたものも、みな焼き尽くされるであろう。

ペテロの第二の手紙 3章10節

地上は神によって完全に一掃されます。キリストの救いを受け入れず、反逆した人々は滅ぼされ、葬るものもいません。何十億もの人々が生きていた地上は完全に破壊され、生きている者のいない状態になります。

千年期の間、地球はどのような状態になっているでしょうか?

わたしは地を見たが、それは形がなく、またむなしかった。天をあおいだが、そこには光がなかった。…… わたしは見たが、人はひとりもおらず、空の鳥はみな飛び去っていた。

エレミヤ書4章23節、25節

千年期の間、地球は荒廃した状態となり、もはや、平和と繁栄の場所ではなくなります。地球は「むなしく」されるのです(イザヤ書24章1節)。

ソドムとゴモラ(繁栄した古代都市)が滅ぼされたように、地球も滅ぼされるとキリストは述べています(ルカによる福音書17章28―30節)。地球は天地創造前の「形なく、むなし」い(創世記1章2節)状態になるのです。

千年期に、救われた人々は天で何をするのでしょうか?

また見ていると、かず多くの座があり、その上に人々がすわっていた。そして、彼らにさばきの権が与えられていた

ヨハネの黙示録20章4節

救われた人々は、救いを受け入れなかった人々の裁きに加わります(コリント人への第一の手紙6章2―3節)。神は天の記録を開き、彼らがなぜ救われなかったのかを人々の前に明らかにされます。この期間に、多くの疑問が解決されていくのです。

失われた人々の隠された事情がすべて明らかになるので、人類を救うために神がどれほどの働きをしていたのかを理解できるのです。千年期は、神がどれほど公正なお方であり、公正な働きをしたかを確認する期間です。

千年期に、サタンは何をしているのでしょうか?

千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される

ヨハネの黙示録20章7節

千年期の間、サタンは鎖につながれますが、それは文字どおりの鎖ではなく、サタンの置かれた状況をあらわしています。サタンは荒廃した地球に閉じ込められ、行動を封じられ、人類の歴史の中で彼が引き起こした悲劇を思い返すのです。

救われた人々は天に移り、救いを受け入れなかった人々は滅ぼされるので、サタンは仲間の悪天使たちと共に地球に残されるのです。

千年期の終わり

千年期の終わりに、どのような驚くべきことが起こりますか?

それ以外の死人は、千年の期間が終るまで生きかえらなかった。

ヨハネの黙示録20章5節

千年期が終わるとき、救いを受け入れなかった(キリストの再臨で滅ぼされた)人々が死からよみがえります。このときに、「サタンはその獄から解放され」(ヨハネの黙示録20章7節)、ふたたび人々を惑わし始めます。 

千年期の終わりに、ほかにどのような出来事が黙示録に示されていますか?

また、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た

ヨハネの黙示録21章2節

千年期が終わると、救われた人々が住んでいた天の聖なる都(天国の首都)がオリブ山の上の広い平原に下ってきます(ゼカリヤ書14章4節)。

聖なる都はきわめて壮麗で「夫のために着飾った花嫁」(ヨハネの黙示録21章2節)のようだと描写されています。

都は碧玉で出来た城壁に囲まれており、大通りは純金で造られ、十二の真珠の門があります。さらに、都の土台はさまざまな宝石で造られているのです(ヨハネの黙示録21章18―20節)。

救いを受け入れなかった人々がよみがえったとき、サタンは何をするのでしょうか?

千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される。そして、出て行き、地の四方にいる諸国民、すなわちゴグ、マゴグを惑わし、彼らを戦いのために召集する。その数は、海の砂のように多い。

ヨハネの黙示録20章7―8節

自ら犯した罪の結果、荒廃してしまった地球で千年間を過ごしたあとも、神に対するサタンの態度は変わりません。

反抗を続けるサタンは、キリストを拒絶した人々をふたたび扇動し、神との最後の決戦のために準備をさせます。時代を越えて、キリストを受け入れなかった人々はサタンと協力して、聖なる都を占領しようと試みるのです。

ゴグとマゴグとは?

エゼキエル書38章、39章で、ゴクとマゴクは神の敵の象徴として登場します。ヨハネの黙示録には旧約聖書の表現が多数引用されていて、ヨハネは、ヨハネの黙示録20章7節、8節でも、旧約聖書の象徴を用いて描写しています。預言者エゼキエルが、神に敵対する者をゴグ、マゴグと呼んだように、ヨハネも黙示録で神に反逆する者を象徴するものとしてゴグ、マゴグを使用しています。

聖なる都を占領しようとする動きに対して、神はどのように終止符を打つのでしょうか?

彼らは地上の広い所に上ってきて、聖徒たちの陣営と愛されていた都とを包囲した。すると、天から火が下ってきて、彼らを焼き尽くした

ヨハネの黙示録20章9節

聖書はこの出来事を「第二の死」と呼んでいます(ヨハネの黙示録20章14節)。[It Is Written 聖書研究ガイド12「愛の神は本当に永遠の地獄をつくられるのか?」参照]

戦いのあとで

最後の反乱を収めたあとで、神はどんなことをしますか?

わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と地とは消え去り、海もなくなってしまった。

ヨハネの黙示録21章1節 

神の計画は、この地球を再創造し、アダムとエバがエデンの園で暮らしていたときと同じ美しい状態に戻すことです。罪は永遠に存在せず、罪びともいません。

完全な世界で、人々は神の前に生きるのです。そこには、病気も、悲しみも、涙も、痛みも、死もありません(イザヤ書33章24節、ヨハネの黙示録21章4節)。

新しくなった世界での神と人々との関係を、黙示録はどのように説明していますか?

また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、

ヨハネの黙示録21章3節

ヨハネの黙示録に記されている千年期は、神の計画が最終的に実現することを明らかにしています。天地創造のあと、罪が神と人間との関係を断絶しました。

神は地上の聖所に住むことによって、人々とともにいましたが(出エジプト記25章8節)、罪のために、人々は神が望まれたように神を受け入れることができませんでした。「自分の民は彼を受けいれなかった」のです(ヨハネによる福音書1章11節)。

しかしついに、神はご自分の民と本当の交わりを楽しむことができるようになるのです。もはやサタンも罪も存在しない新しい世界で、救われた人々は永遠に神とともに住むことを喜ぶことになります。

信仰によってキリストを受け入れる者は、だれでも新しく創造された地球で神とともに住むことができるのです。

聖書の引用は、特記がない限り日本聖書協会口語訳を使用しています。
そのほかの訳の場合はカッコがきで記載しており、以下からの引用となります。
『新共同訳』 ©︎共同訳聖書実行委員会 ©︎日本聖書協会
『口語訳』 ©︎日本聖書協会 
『新改訳2017』 ©2017 新日本聖書刊行会

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