第20課 聖書の預言におけるアメリカ合衆国

目次

自由の国アメリカ

20世紀の米国を代表する傑出した政治指導者であり、二度も大統領候補になったニューヨーク州知事アルフレッド・E・スミスは、最後に公の場に姿をあらわしたときに、神はけっして米国をお見捨てにならないと言い、その理由を次のように述べました。

わたしはこの国を、安息の避難所、またあらゆる土地で虐げられた者たちや抑圧された者たちの避難の港であるとらえ、神の摂理によって意図され建てられた国であると教えられてきた。

元ニューヨーク州知事アルフレッド・E・スミス

多くの世界中の男女がこの約束を求めてアメリカ合衆国にやってきました。ニューヨーク市出身で、米国移民の子孫でもあった若い女性が書いたひとつの詩が、港に立つ自由の女神像の土台に刻み込まれています。

疲れ果て、貧しさにあえぎ、自由の息吹を求める群衆を、わたしに与えたまえ。人生の高波に揉まれ、拒まれ続ける哀れな人々を。戻る祖国なく、動乱に弄ばれた人々を、わたしのもとに送りたまえ。わたしは希望の灯を掲げて照らそう。自由の国はここなのだと

エマ・ラザラス『新しきコロッサス』

世界中の幾百万という人々が、自由と正義を保証するアメリカという国に感動してきました。

しかし、聖書の預言を研究している者やその他の多くの人々は、次のように問いかけます。「はたしてアメリカはこの約束を永遠に提供し続けるだろうか?」と。

聖書の預言が示すように、人類の歴史が終わろうとする時代にアメリカは自由の国であり続けることができるでしょうか?

預言に出てくるアメリカ

アメリカ合衆国は聖書の預言の中でどのように言及されているでしょうか?

わたしはまた、ほかの獣が地から上って来るのを見た。

それには小羊のような角が二つあって、龍のように物を言った。そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた。

また、大いなるしるしを行って、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。

さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし、かつ、つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを、地に住む人々に命じた。

それから、その獣の像に息を吹き込んで、その獣の像が物を言うことさえできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。

ヨハネの黙示録13章11―15節

この預言のいくつかの点が特に際立っており、ここで述べられている「獣」を理解する助けとなります。

聖書の預言では「獣」は何を象徴するでしょうか?

第四のは地上の第四のである。

ダニエル書7章23節

聖書の預言では、「獣」は国家あるいは王国を象徴します。

この獣はいつ、大国の地位に立つでしょうか?

わたしはまた、ほかの獣が地から上って来るのを見た。

ヨハネの黙示録13章11節

ヨハネは先の獣が失墜した後、第二の獣(国家)が出現するのを見ました。先の獣は1798年に至上権を失うまでに徐々に衰退していきました。[It Is Written 聖書研究ガイド18 「黙示録の獣」参照]

衰退した先の獣が1798年に至上権を失うときに、第二の獣が姿を現すのでした。

ヨハネの黙示録13章の第二の獣はどこに出現するでしょうか?

御使はまた、わたしに言った、「あなたの見た水、……は、あらゆる、群衆、国民、国語である。

ヨハネの黙示録17章15節

ヨハネの黙示録13章に出てくる先の獣は、ダニエル書7章の四つの獣と同じように海から現れます。

聖書の預言では「海(水)」は大勢の人々を象徴し、対照的に「地」は世界でも人口のごく少ない地域を象徴します。この獣は世界でも人口の少ないところから出現するのです。

ヨハネの黙示録13章の第二の獣の特徴はどのようなものでしょうか?

小羊のような角が二つあって

ヨハネの黙示録13章11節

ヨハネの黙示録で、キリストは「小羊」として繰り返し描写されています(黙示録5章6節、6章1節、13章8節、14章1節、21章27節、22章1節 その他)。

バプテスマのヨハネも「見よ、世の罪を取り除く神の小羊」と叫びました(ヨハネによる福音書1章29節)。

この「獣(国家)」には真の小羊であるキリストと共通する原則が見られ、キリストに似ているという特徴があります。

政治、歴史、地理そして哲学的な証拠のすべてが、ヨハネの黙示録13章11―15節に描かれている国家がアメリカ合衆国であることを指し示しています。

この国家権力は、キリストが地上の人々に与えようとしておられた原則に土台を置いていたので、「小羊」に象徴されています。

キリストが人々を自由にするために来られたように、この国家は政治と宗教の自由を約束し、世界の模範となりました。また「角」は聖書の預言では権威や力を象徴し、二つの角はこの国家の大きな特徴でもあります。

[独立宣言は次の事柄についての保証を含んでいる]……裁判権:集会の自由、講演の自由、印刷の自由、そして歴史上初めてとなる国がいかなる「宗教権力」を一切支援しないという保証

テオドール・H・ホワイト 『Breach of Faith:The Fall of Richard Nixon』p.323

この国家はいつまでも自由を約束するでしょうか?

それには小羊のような角が二つあって、龍のように物を言った

ヨハネの黙示録13章11節

マタイによる福音書12章34節でキリストは言われました。「心からあふれることを、口が語るものである」。

ヨハネの黙示録は、この国は「心を変える」、つまり小羊のように見えるが龍のように語るようになると預言しています。

ヨハネの黙示録で「龍」は何を象徴しているでしょうか?

この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落され、その使たちも、もろともに投げ落された。

ヨハネの黙示録12章9節

アメリカ合衆国は「小羊」のように、人々に自由な生活を提供してきました。しかし、聖書の預言によれば、あるときに、この国は自由を捨て、「小羊」のやり方を無視して「龍」のやり方に従うようになります。

最後の戦い

第二の国は世界にどのような影響を及ぼすでしょうか?

そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。

ヨハネの黙示録13章12節

最初の獣について聖書は語っています。「そして彼は、聖徒に戦いをいどんでこれに勝つことを許され(た)。」

ヨハネの黙示録は、13章に出てくる「第二の国」がやがて先の国(カトリックの教皇権)のやり方で支配するようになると預言しています。

ヨハネの黙示録13章の「第二の国」は先の国とどのように協力するでしょうか?

そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた。

ヨハネの黙示録13章12節

聖書は、この権力は先の獣の権力を回復させるために協調し、世界がその権力に服従するのを先導すると述べています。

ヨハネの黙示録13章の第二の国は、人々にどのような影響を与えて先の国の権威に服従させようとしますか?

そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた

ヨハネの黙示録13章12節

国は新しい法律をつくることで国民全体の行動に影響を及ぼすことができるので、やがて人々がヨハネの黙示録13章の先の獣を拝むように導く法律が可決されると考えられます。

ヨハネの黙示録13章の第二の国によって、どのようなかたちの礼拝が強要されるでしょうか? 

また、小さき者にも、大いなる者にも、富める者にも、貧しき者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ

ヨハネの黙示録13章16節

ヨハネの黙示録13章の預言は、アメリカ合衆国とカトリックの教皇権がやがて権力の頂点に達すると結論づけています。これによって獣の刻印が実現されるのです。

聖書はわたしたちに、正しい選択をするようにせまっています。もし、国家権力に服従して獣の刻印を受けるなら、わたしたちは神のみこころに敵対する側に立つことになります。

逆に、わたしたちが獣の刻印を拒否するなら、神のみこころと調和することにはなりますが、国家権力の前では敵とみなされます。[獣の刻印についての詳細は、It Is Written聖書研究ガイド19  獣の刻印 参照]

国家権力に従わない決断をする人々はどのようになるでしょうか?

その獣の像を拝まない者をみな殺させた

ヨハネの黙示録13章15節

アメリカ合衆国は、先の獣を人々に礼拝させる(中世の暗黒時代を繰り返す)だけでなく、反抗する人々に死という刑罰を課すようになります。

「歴史は繰り返す」という言葉があるように、ヨハネの黙示録はこの世界の不穏な未来を描いています。

アメリカ合衆国は、獣の刻印を強要するサタンの計画に従おうとしない神の民に対して、暴力と迫害を繰り返し行うことを予告しているのです。[It Is Written聖書研究ガイド19 獣の刻印 参照]

アメリカ合衆国が政治的・宗教的自由と決別した結果、どのようなことが起きるでしょうか?

また見ると、龍の口から、獣の口から、にせ預言者の口から、かえるのような三つの汚れた霊が出てきた。これらは、しるしを行う悪霊の霊であって、全世界の王たちのところに行き、彼らを召集したが、それは、全能なる神の大いなる日に、戦いをするためであった。

ヨハネの黙示録16章13―14節

地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、その名を世の初めからしるされていない者はみな、この獣を拝むであろう。

ヨハネの黙示録13章8節

自由は失われ、「先の獣」への礼拝を強要する新たな法律が可決されると、全世界の人々が獣と結びつき、神と神の民に敵対するのが見られると預言されています。

キリストに人生をゆだねた神の民(クリスチャン)以外の全世界の人々が、彼らを迫害することで一致団結するのです。

これとまったく同じ出来事が、預言者ダニエルの時代にもありました。

ダニエル書3章4―6節には次のように書かれています。

時に伝令者は大声に呼ばわって言った、「諸民、諸族、諸国語の者よ、あなたがたにこう命じられる。 角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く時は、ひれ伏してネブカデネザル王の立てた金の像を拝まなければならない。 だれでもひれ伏して拝まない者は、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる」と。

ダニエル書3章4―6節

ネブカデネザルは、王の命令に従わずに神の戒め(出エジプト記20章4―6節)に従うことを選んだ若者たちを燃える火の炉に投げ込みました。

神はこのとき、シャデラク、メシャク、アベデネゴの3人の若者を奇跡的な方法で救い出しました。キリストが燃える炉の中の若者たちと共に立たれたのです。

ダニエル書3章25節には次のように書かれています。

しかし、わたしの見るのに四人の者がなわめなしに、火の中を歩いているが、なんの害をも受けていない。その第四の者の様子は神の子のようだ。

ダニエル書3章25節
サタンは忠実な神の民(クリスチャン)を欺くためにどのようなことを行うでしょうか?

にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、大いなるしるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。

マタイによる福音書24章24節

また、大いなるしるしを行って、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。 さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし、かつ、つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを、地に住む人々に命じた。

ヨハネの黙示録13章13―14節

これらは、しるしを行う悪霊の霊であって、全世界の王たちのところに行き、彼らを召集したが、それは、全能なる神の大いなる日に、戦いをするためであった。

ヨハネの黙示録16章14節 

世界の終わりの時代は、神の民(クリスチャン)を神の言葉と神への信仰から引き離そうとするサタンの強力な欺瞞の時となると予告されています。

神の民はどう生きるのか

世界の終わりの時代の欺瞞から守られるために、神の民はどうしたらよいでしょうか?

おしえとあかしに尋ねなければならない。もし、このことばに従って語らなければ、その人には夜明けがない。

イザヤ書8章20節(新改訳)

圧倒的な欺瞞の時代にあっても欺かれないように、神の言葉に完全な信頼を置くことが重要です。神の言葉が、神の民をサタンの欺瞞から守るのです。

世界の終わりの時代に、神の民は迫害や暴力に対してどのような態度をとるでしょうか?

ペテロをはじめ使徒たちは言った、「人間に従うよりは、神に従うべきである。」

使徒行伝5章29節

人生を完全にキリストにゆだねた神の民は、人間の命令に服従するよりも神の戒めに従うことを何よりも尊重します。

全世界の人々がヨハネの黙示録13章の「先の獣」を礼拝する時代にあって、神の民はどのように神に忠実でいることができるでしょうか?

あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである。

ピリピ人への手紙2章13節

わたしはキリストと共に十字架につけられた。 生きているのは、もはや、わたしではない。キリストが、わたしのうちに生きておられるのである。

ガラテヤ人への手紙2章19―20節

キリストは、神に忠実に従う人々には「悩みの時」があることを承知しておられました(ヨハネによる福音書16章33節)。

使徒パウロは「イエス・キリストにあって信心深く生きようとする者は、みな、迫害を受ける」と書いています(テモテの第二の手紙3章12節)。

キリストは、聖霊をとおしてわたしたちの内に住んでくださると約束しました。

ダニエルが飢えたライオンの穴の中に投げ込まれたときに、神が守ってくださったように、神はすべての神の民、神に忠実に従う人々を守り、支えると約束しておられるのです。

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