ルシファー・ミカエル・ガブリエル|聖書に登場する天使を解説

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この記事はこんな人におすすめ!
・聖書の主要な天使について知りたい
・ルシファーの堕天の理由を理解したい
・ミカエルがどんな存在かを知りたい

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ラファエルウリエルといったゲームなどでよく聞く天使たちは、実は正典の聖書には登場しません。聖書に出てくる天使は、ルシファー・ミカエル・ガブリエルだけなのです!

この記事では、その3人の天使を詳しく見ていきます。

この記事のまとめ
  1. マリアに受胎告知をした天使がガブリエル
  2. ルシファーはもともとケルブであったが、堕落して、サタン(悪魔)となった
  3. ルシファーの堕落の理由は、高慢になり、自己を高め、神になろうとしたため
  4. ミカエルはルシファーと争う存在の天使
  5. キリストは神に造られたものでも低級の神でもなく、天上の生物として一般的に知られている天使ではない
目次

聖書に出てくる天使とその役割

天使の役割

天使とは、神によって創造された超自然的な存在で、神のメッセンジャーとしての役割を担っています。

ただ、天使と訳される聖書の原語のヘブライ語(マラーハ)とギリシャ語(アンゲロス)は、一般的に知られている天上の生物としての天使だけでなく、メッセンジャーの働きをなす人々をも指す表現です。

ダビデは、サウルの子イシュ・ボシェトに使者<マラーハ>を遣わし、ペリシテ人の陽皮百枚を納めてめとった妻ミカルをいただきたい、と申し入れた。

サムエル記下3章14節、括弧は筆者注

ヨハネの使い<アンゲロス>が去ってから、イエスは群衆に向かってヨハネについて話し始められた。「あなたがたは何を見に荒れ野へ行ったのか。風にそよぐ葦か。

ルカによる福音書7章24節、括弧は筆者注

天使に性別はあるの?

一般的には、キリストが「天国では結婚をせず、天使のようになる」と発言されたことから、天使は中性的であり、性別はないとされています(マタイによる福音書23章30節)

ただ、直接的に天使の性別について言及してるわけではないため、正確にはわかりません。

天使のイメージ画像

セラフィム(セラピム)とは

セラフィムとは、預言者イザヤが幻の中で目撃した天使で、6枚の翼を持ち、神の御前を飛んでいる天使とされています。

セラフィムはセラフの複数形で、ヘブライ語で「燃える者」を意味します。

上の方にはセラフィムがいて、それぞれ六つの翼を持ち、二つをもって顔を覆い、二つをもって足を覆い、二つをもって飛び交っていた。

イザヤ書6章2節

ケルビム(ケルブ)とは

ケルビムとは、聖書のさまざまな場所で登場する特別な天使で、ルシファーも、もともとはケルブであったとされています(エゼキエル28章14節)

ケルビムはケルブの複数形で、ヘブライ語の意味は不明ですが、アッカド語の「祝福する」「祈る」と関連があるのではとされています。

またエゼキエル書1章では、ケルビムの姿が人型ではあるものの4つの顔を持っていることが書かれています。この部分が文字どおりなのか、象徴的に書かれているのかはわかりません。

彼らは人間のようなものであった。それぞれが四つの顔を持ち、四つの翼を持っていた。……その顔は人間の顔のようであり、四つとも右に獅子の顔、左に牛の顔、そして四つとも後ろには鷲の顔を持っていた。

エゼキエル書1章5ー6、10節

さらに、ダビデは自身の歌の中で、神がケルブに乗って駆けていると歌っています。この部分も文字どおりの意味なのか、単なる表現なのかは不明です。

主は天を傾けて降り/密雲を足もとに従え/ケルビムを駆って飛び/風の翼に乗って現れる。

サムエル記下22章10ー11節

また、古代イスラエルの礼拝の中心であった聖所や神殿の最奥には、契約の箱が置かれており、その箱の上には2体のケルビムの彫刻がありました(出エジプト記15章18ー22節)

契約の箱のイメージ画像
神殿の奥に置かれた契約の箱のイメージ

その他の四大天使|ラファエル・ウリエル

ラファエルは、旧約聖書の外典である『トビト書』に登場する天使で、悪魔アスモデウスと戦いました。

またウリエルは、『第四エズラ書』また『エズラ記(ラテン語)』とも呼ばれる旧約聖書の外典に登場する天使です。

ヘブライ語では「神の火」または「神の光」を意味するため、ユダヤ教の伝統では雷と地震の天使として、またアダムとエバをエデンの園から追い出した炎の剣を使う天使として理解されています。

時代の流れの中で、ミカエルとガブリエルに、旧約聖書の外典に登場するラファエルやウリエルを加えて、4大天使とされました。

また、『神学大全』を書いた中世の神学者であるトマス・アクィナスは、天使の階級を分け、前述したセラフィムやケルビムを高位の天使と位置付けます。

さらに、エンターテインメントの中で用いられていった結果、さまざまなイメージや設定がつけられるようになりました。

しかし、聖書の正典に登場した天使は、ルシファー・ミカエル・ガブリエルのみで、ラファエルとウリエルは外典に登場する天使であるため、プロテスタント教会では認められていません。

ここまでのまとめ
  1. 聖書に出てくる天使は、ルシファー・ミカエル・ガブリエルのみ
  2. 天使とは神によって創造された超自然的な存在だけでなく、メッセンジャーとしての役割を担う人も指す言葉
  3. セラフィムとは6枚の翼を持ち、神の御前を飛んでいる天使
  4. ケルビムとは聖書のさまざまな場所で登場する特別な天使で、ルシファーも、もともとはケルブであった

ガブリエルはどんな天使?

マリアに受胎告知をした天使ガブリエル

ガブリエルとは、預言者ダニエルに70週の預言(ダニエル書9章21ー27節)を伝え、洗礼者ヨハネの誕生をザカリヤに告げ(ルカによる福音書1章11ー20節)、イエスの誕生をマリアに知らせた天使です(ルカによる福音書1章26ー38節)。 

聖書の中で、自身のことを「神の前に立つ者」(ルカによる福音書1章19節)と述べているため、高位の天使であると考えられていますが、聖書の中では明確にされていません。

ガブリエルの名前の意味

ガブリエルはヘブライ語で 「神の人」、または 「神は御自身を強く示された」という意味になります。

ルシファーとは?その意味は?

明けの明星ルシファーが登場する聖書箇所

かつて、お前は心に思った。「わたしは天に上り/王座を神の星よりも高く据え/神々の集う北の果ての山に座し/雲の頂に登って/いと高き者のようになろう」と。

イザヤ書14章13ー14節

イザヤ書14章では、「明けの明星」と呼ばれるルシファーが登場しますが、「ルシファー」は「光を担う者」を意味するラテン語からきています。

「明けの明星」と訳される言葉の原語であるヘブライ語へレール(輝くもの)を多くの学者たちは、金星と理解しました。

堕落前のルシファーは、天体の光る星の中でも最高に輝く星である金星で表現されていますが、それはルシファーの高い地位を描写しています。

ルシファーのキャラクターのマンガ絵画像

ルシファーとサタン(悪魔)の違い

ルシファーとは、サタン(悪魔)のことで、もともとは高位の天使ケルブでした(エゼキエル28章14節)

サタンは角とこうもりのような翼を持つものとして描かれますが、聖書の中では詳細に書かれてはいません。

エゼキエル書1章では、ケルビムの姿が人型ではあるものの4つの顔を持っていることが書かれていることから、サタンの姿も同様とも考えられます。

その一方で、サタンは光の天使に偽装するとも書かれています(コリントの信徒への手紙二・11章14節)

またエゼキエル28章12ー13節では、「美しさの極み」であり、あらゆる宝石に飾られている堕落前のルシファーの姿が出てきます。

人々を騙し、惑わすサタンの姿としては、角とこうもりのような翼を持っているよりも、天使のような美しさを持っているほうが納得できるかもしれません。

いずれにしても、サタンは一般的に知られている姿とは大きく異なる姿をしていると考えられます。

ルシファーの堕天の理由

お前が創造された日から/お前の歩みは無垢であったが/ついに不正がお前の中に/見いだされるようになった。お前の取り引きが盛んになると、お前の中に不法が満ち/罪を犯すようになった。そこで、わたしはお前を神の山から追い出し/翼で覆うケルブであるお前を/火の石の間から滅ぼした。お前の心は美しさのゆえに高慢となり/栄華のゆえに知恵を堕落させた。わたしはお前を地の上に投げ落とし/王たちの前で見せ物とした。

エゼキエル書28章15ー17節

ルシファーの堕天の理由は、「神になろうとした」「驕り高ぶった」ためであると、イザヤ書14章、エゼキエル書28章に書かれています。

こうして、ルシファーは堕落し、ヘブライ語で敵対者を意味する「サタン」と呼ばれるようになりました。

また、70人訳聖書ではディアボロスと訳され、「中傷者」、「告発者」、「悪魔」と表現されています。

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ルシファーと争う大天使ミカエルとは?

ミカエルの名前の意味

ミカエルは「神に似たる者はだれか」という意味で、聖書の中でサタンと戦う存在として描かれており、イエス・キリストと同一視する見解もあります。

しかし、キリストは天上の生物として一般的に知られている天使ではありません。天使たちは「長子」であるキリストを礼拝するようにと言われています。

更にまた、神はその長子をこの世界に送るとき、「神の天使たちは皆、彼を礼拝せよ」と言われました。

ヘブライ人への手紙1章6節

また聖書の中で、キリストは神に造られたものとか低級の神としては描かれていません

キリストは、はっきりと「神と等しい者」であることを宣言されました。

このために、ユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとねらうようになった。イエスが安息日を破るだけでなく、神を御自分の父と呼んで、御自身を神と等しい者とされたからである

ヨハネによる福音書5章18節

パウロもこれを認め、次のように述べています。

キリストは、神の身分<原語:本質/性質>でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、……

フィリピの信徒への手紙2章6節(括弧は著者注)

その一方、旧約聖書などを見ると、ミカエルには他の天使とは異なる興味深い点があります。

ミカエルとサタンとの天での戦い|ミカエルの役割

さて、天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた……

ヨハネの黙示録12章7ー9節

ヨハネの黙示録では、ミカエルとサタンが戦う様子が描かれています。

聖書の中には神とサタンが論争する場面が数多く出てきているため(ヨブ記1ー2章、ダニエル書10章、ゼカリア書3章)この戦いは力による戦いではなく、論争であると考えられています。

また、ユダヤの文献の中の大天使ミカエルは、王であり、また祭司としての働きを天において行う存在として描かれています。

天使のイメージ画像
AIによって生成されたイメージ画像です

まとめ

この記事のまとめ
  1. マリアに受胎告知をした天使がガブリエル
  2. ルシファーはもともとケルブであったが、堕落して、サタン(悪魔)となった
  3. ルシファーの堕落の理由は、高慢になり、自己を高め、神になろうとしたため
  4. ミカエルはルシファーと争う存在の天使
  5. キリストは神に造られたものでも低級の神でもなく、天上の生物として一般的に知られている天使ではない

聖書に出てくる天使は、ルシファー・ミカエル・ガブリエルのみで、セラフィムやケルビムは神の御前を飛んでいる天使のことでした。

また天使とは、神によって創造された超自然的な存在だけでなく、メッセンジャーとしての役割を担う人も指す言葉でした。

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参考文献

  1. Siegfried H. Horn, The Seventh-Day Adventist Bible Dictionary (Review and Herald Publishing Association, 1979).
  2. M. G. Easton, Illustrated Bible Dictionary and Treasury of Biblical History, Biography, Geography, Doctrine, and Literature (New York: Harper & Brothers, 1893).
  3. Encyclopedia Britannica(https://www.britannica.com),2024年8月2日参照

引用文

聖書が、イエスを「ひとり子」や「長子」と言い、またそのお生れになった日について述べているのは、イエスの神性や永遠性を否定しているのではありません。「ひとり子」(ヨハネ1:14、1:18、3:16、1ヨハネ4:9)という語は、ギリシャ語のモノゲネスからきたものです。聖書で用いられるモノゲネスは、「唯一の」とか「無類の」を意味しますが、それは、時間的経過の中のできごととしての唯一性や無類性ではなく、特別な関係としてのそれを意味します。たとえば、イサクはアブラハムの「ひとり子」と呼ばれていますが、かれはアブラハムのひとり子ではありませんでしたし、最初に生れた子でさえもありませんでした(創世記16:16、21:1-21、25:1-6)。イサクは、アブラハムの一族中、あらかじめその後継者と定められた唯一無二の子でした。

……同じように、キリストが「長子」(ヘブル1:6、ローマ8:29、コロサイ1:15,18、黙示録1:5)とお呼ばれになるとき、その語は、時のある点をさしているのではなく、むしろ、重要性あるいは優先性を強調しています(ヘブル12:23参照)。ヘブルの文化では、長子は一族の諸特権を与えられました。同様にイエスは、人々の間の長子として、人間が失ったいっさいの特権をとりもどされました。イエスは、新しいアダム、新しい「長子」、人類の頭となられました。聖書が、イエスのお生れになった日に言及するのは、ひとり子や長子と同じ概念に基づいています。

『アドベンチストの信仰』セブンスデー・アドベンチスト教団、91ー92ページ

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