苦難を経て【エステル記8章1節〜14節】

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エステル記8章1―14節(口語訳)

8:1その日アハシュエロス王は、ユダヤ人の敵ハマンの家を王妃エステルに与えた。モルデカイは王の前にきた。これはエステルが自分とモルデカイがどんな関係の者であるかを告げたからである。 8:2王はハマンから取り返した自分の指輪をはずして、モルデカイに与えた。エステルはモルデカイにハマンの家を管理させた。

8:3エステルは再び王の前に奏し、その足もとにひれ伏して、アガグびとハマンの陰謀すなわち彼がユダヤ人に対して企てたその計画を除くことを涙ながらに請い求めた。 8:4王はエステルにむかって金の笏を伸べたので、エステルは身を起して王の前に立ち、 8:5そして言った、「もし王がよしとされ、わたしが王の前に恵みを得、またこの事が王の前に正しいと見え、かつわたしが王の目にかなうならば、アガグびとハンメダタの子ハマンが王の諸州にいるユダヤ人を滅ぼそうとはかって書き送った書を取り消す旨を書かせてください。 8:6どうしてわたしは、わたしの民に臨もうとする災を、だまって見ていることができましょうか。どうしてわたしの同族の滅びるのを、だまって見ていることができましょうか」。 8:7アハシュエロス王は王妃エステルとユダヤ人モルデカイに言った、「ハマンがユダヤ人を殺そうとしたので、わたしはハマンの家をエステルに与え、またハマンを木に掛けさせた。 8:8あなたがたは自分たちの思うままに王の名をもってユダヤ人についての書をつくり、王の指輪をもってそれに印を押すがよい。王の名をもって書き、王の指輪をもって印を押した書はだれも取り消すことができない」。

8:9その時王の書記官が召し集められた。それは三月すなわちシワンの月の二十三日であった。そしてインドからエチオピヤまでの百二十七州にいる総督、諸州の知事および大臣たちに、モルデカイがユダヤ人について命じたとおりに書き送った。すなわち各州にはその文字を用い、各民族にはその言語を用いて書き送り、ユダヤ人に送るものにはその文字と言語とを用いた。 8:10その書はアハシュエロス王の名をもって書かれ、王の指輪をもって印を押し、王の御用馬として、そのうまやに育った早馬に乗る急使によって送られた。 8:11その中で、王はすべての町にいるユダヤ人に、彼らが相集まって自分たちの生命を保護し、自分たちを襲おうとする諸国、諸州のすべての武装した民を、その妻子もろともに滅ぼし、殺し、絶やし、かつその貨財を奪い取ることを許した。 8:12ただしこの事をアハシュエロス王の諸州において、十二月すなわちアダルの月の十三日に、一日のうちに行うことを命じた。 8:13この書いた物の写しを詔として各州に伝え、すべての民に公示して、ユダヤ人に、その日のために備えして、その敵にあだをかえさせようとした。 8:14王の御用馬である早馬に乗った急使は、王の命によって急がされ、せきたてられて出て行った。この詔は首都スサで出された。

目次

持っているものまでも取り上げられて

キリストは次のように言われました。

おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられるであろう。

マタイによる福音書25章29節(口語訳)

この原則は、申命記にも見られます。

もし、きょう、わたしがあなたがたに命じるあなたがたの神、主の命令に聞き従うならば、祝福を受けるであろう。もしあなたがたの神、主の命令に聞き従わず、わたしが、きょう、あなたがたに命じる道を離れ、あなたがたの知らなかった他の神々に従うならば、のろいを受けるであろう。

申命記11章27―28節

エステル記8章では、まさにこの原則が起こったのでした。主に従わず、自分の思いどおりにしようとしたハマンの財産は、主に従ったモルデカイのものとなったのです。

罪人が処刑された場合、その財産はすべて王に没収され、王は自分の好きなように処分しました[1]

Nichol, F. D. (Ed.). (1977). The Seventh-day Adventist Bible Commentary (Vol. 3, p. 484). Review and Herald Publishing Association.

権力が与えられても

エステル記3章8節―11節を見ると、指輪を与えることは権限を与えることと同義に近いことがわかります。8章2節でモルデカイにその王の指輪が与えられますが、モルデカイもエステルもその権限を濫用しようとはしませんでした。

そればかりか、王が出したユダヤ人虐殺の命令を覆すためにも使おうとしなかったのです。そして、彼らは次のような行動に出ます。

エステルは再び王の前に奏し、その足もとにひれ伏して、アガグびとハマンの陰謀すなわち彼がユダヤ人に対して企てたその計画を除くことを涙ながらに請い求めた。

エステル記8章3節(口語訳)

「足もとにひれ伏し」たエステルの行動は、礼拝ではなく服従のしぐさです(エステル記3章2―5節参照)[2]。エステルとモルデカイは権力を手にしても、なお王の権威を認め、服従の姿勢を見せていきました。

権威を振りかざしていたハマンの姿と、権力を手にしてもなお服従の姿勢を見せるエステルとの対比がここに示されています。

まとめ

ハマンの富と権威は、エステルとモルデカイへと渡されます。そして、モルデカイは王家の衣をまとうことになりますが(15節)、これはヨセフやダニエルを連想させます[3]

彼らと同じように、苦難の試練を経て、エステルとモルデカイは祝福を受けるのでした。

聖書の引用は、特記がない限り日本聖書協会口語訳を使用しています。
そのほかの訳の場合はカッコがきで記載しており、以下からの引用となります。
『新共同訳』 ©︎共同訳聖書実行委員会 ©︎日本聖書協会
『口語訳』 ©︎日本聖書協会 
『新改訳2017』 ©2017 新日本聖書刊行会

参考文献

[1] Nichol, F. D. (Ed.). (1977). The Seventh-day Adventist Bible Commentary (Vol. 3, p. 484). Review and Herald Publishing Association.

[2] Nichol, F. D. (Ed.). (1977). The Seventh-day Adventist Bible Commentary (Vol. 3, p. 485). Review and Herald Publishing Association.

[3]

Rubin, B. (Ed.). (2016). The Complete Jewish Study Bible: Notes (pp. 1236–1237). Peabody, MA: Hendrickson Bibles; Messianic Jewish Publishers & Resources.

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