ダニエルの祈りの生活【ダニエル—執り成しの祈り】#42

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紀元前539年はダニエルの生涯において激動の年でした。80歳代になっていた彼は、バビロンがペルシア軍の夜間攻撃によって滅亡し、メディア人ダレイオスが王となるのを見ます(ダニ5:30、6:1、9:1)。ダレイオス王はダニエルを特別に信任し、彼を首相にしようとします。これが政治的な争いに発展し、側近たちの仕掛けた罠(わな)にダニエルの命は危うくなります(6章)。

この騒乱の中でダニエルの心は深く沈んでいました。自分のことではなく、わが民はどうなるのかということでした。ダニエルはエレミヤの預言した70年の捕囚の後に民が故郷に帰還すると信じていました(エレ25:11、12)。彼はまた、この帰還がイザヤの預言にある新天地の実現と考えていたかもしれません(イザ35、66 章参照)。しかし、過去数十年に及ぶ彼自身が受けた幻によれば、後に諸帝国が起こること、神の御国と聖所が悪の力によって踏みにじられることも知っていました。自分の民、都、聖所の早急な回復を望む老人ダニエルにとって、これは苦い失望でした。彼は民の罪のために70年の捕囚期間が延ばされると考えたことでしょう。

王宮の一角にあるダニエル家の2階の書斎をのぞいてみましょう。彼は言語と文化に通じた学者でしたから、多くの蔵書が見えます(ダニ1:17)。特に使い古されたヘブライ語の聖書、モーセの書、イスラエルの年代記、エレミヤの書き物が目を惹きます。老齢のためやや腰の曲がったダニエルが、粗布をまとって入って来ます。そして、エレミヤの巻物を開き、エルサレムに向かって開かれた西側の窓際にひざまずきます。ダニエルは毎日場所を決め、時間を決めて「いつものとおり」「日に3度」、朝と夕の犠牲のとき、また正午に祈っていました(ダニ6:10新共同訳、11口語訳、9:21)。それが彼の日常の習慣で、多くの人の衆知の事実でした。

◆ダニエルは預言ですべて決まっている自分の民の将来のことで悩む必要があったのでしょうか。ダニエルが王の禁令を破ってまでもいつものように祈ったのはなぜですか(6章)。もし窓を閉めてひそかに祈っていたならどうでしょうか。

*本記事は、『聖書に見る偉大な祈り』からの抜粋です。

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