百人隊長の僕【イエスの奇跡と大争闘】#42

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百人隊長の要求は、二つの意味で非常に異例なものでした。第一に、百人隊長は生え抜きの軍人であって、100 人の兵士の長でした。しかも、ローマ人はユダヤ人に対する抑圧のゆえにユダヤ人から軽蔑されていました。第二に、この百人隊長は自分の奴隷のために助けを請いました。ギリシア人もローマ人も、奴隷を人間とみなしていませんでした(ローマの著述家カトーは、年老いて病弱な奴隷を不要になった農具と一緒に捨てるように勧めているくらいです)。

サタンはこのような差別的な態度を喜びます。なぜなら、このような態度は(キリストの品性と対照的な)サタンの品性を現し、福音の伝播を妨げるからです。しかし、百人隊長の態度はサタンの態度と際立って対照的です。それは福音の精神と調和するもので、人間同士の分裂のもとである障害物を取り除いてくれます。

異邦人のローマ人がキリストに対してこれほどの信仰心を表したのは驚くべきことです。イエスが次のように言われたのも不思議ではありません。「言っておくが、いつか、東や西から大勢の人が来て、天の国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席に着く。だが、御国の子らは、外の暗闇に追い出される。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう」(マタ8:11、12)。

この百人隊長は、異教の中で生まれ、ローマ帝国の偶像崇拝の中で教育を受け、兵士として訓練され、その教育と環境のゆえに信仰とは無縁の生活を送り、さらに自分だけを信仰の継承者とみなす人たちの頑迷さによって真理から締め出されていました。それにもかかわらず、彼はしかるべき人たちとは対照的に、信仰によってキリストに応答したのでした。神の忠実な僕を自任する人たちにとって、このことは何という教訓でしょうか。社会的な差別に私たちはもっと関心を払わなければならないのではないでしょうか。

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*本記事は、聖書研究ガイド2002年第1期『キリストとサタンの大争闘』からの抜粋です。

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