第2課 健康を左右する食生活

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食事の現状の問題点

「健康日本21」では、現代日本の食事の問題点として、カロリー(特に脂肪分)や食塩の過剰摂取、カリウム、食物繊維や抗酸化ビタミンの摂取不足などをあげています。

このうち、カリウムや食物繊維、抗酸化ビタミンについては、野菜の摂取が寄与する割合が高く、1日あたりの平均摂取量を2割以上増やすこと(350グラム以上)が目標になっています。

また、カルシウムに富む牛乳・乳製品や豆類、緑黄色野菜をより多く摂ることも目標とされています[1]。※

※病気によっては、カリウムやカルシウムなどの摂取を控えなければならない場合もありますので、ただやみくもに摂取量を増やせばよい、というものではありません。食事を変える前に、まずかかりつけ医や主治医にご相談することをお勧めします。このシリーズでは、病気による制限がないと仮定して話を進めます。

安全な食材を選ぶ

昨今、食の安全が問われています。集団発生したノロウイルス感染症、スギヒラタケが原因となった急性脳症、鳥インフルエンザ、牛海綿状脳症の問題はまだ記憶に新しいところです。他にも食中毒や寄生虫の問題、食品添加物や農薬の問題、遺伝子操作を受けた作物、公害など、問題となる可能性のある事柄をあげ始めるときりがありません。

手に入り得る限り安全な食材を選ぶ必要があるのは当然ですが、病気の可能性の少ない食材を選ぶ方がよいのは言うまでもありません。

また、体調や病気によって、個々の体が必要とする栄養分は変わってきます。アレルギーや消化の関係で、ある人には勧められても、別の人には勧められない場合もあります。それぞれの置かれた環境、条件の下で最善の食事を摂ることが肝要なのです。個人差や病気についてはかかりつけ医や栄養士の方に相談されることをお勧めします。

ここからは、一般的な原則についてお話しいたします。

菜食のすすめ

それでは、どんな食事が一般により健康のために「よい」ものなのでしょうか。

前述の「健康日本21」であげられた現状の問題点をクリアする1つの方法は菜食です。さまざまな穀類、ナッツ、野菜を組み合わせて用いることで、野菜摂取量を増やし、摂取エネルギー量を減らし、脂肪エネルギー比率を引き下げ、食物繊維や抗酸化ビタミン、カリウムやカルシウムの摂取を増やすことができます。

野菜の効用については、特に最近注目が集まっています。野菜や果物を多く食べる人は肺がん、口腔がん、食道がん、胃がん、大腸がん等になりにくい、というデータが出ていますし、他にも、高血圧を予防することや、肥満防止、便秘解消や脂質改善に役立つなど、現代のさまざまな病気の予防に大きく関与することがわかっています[2]

ただし、特定の食材だけを用いるのでは、バランスよく栄養を摂ることができませんから、さまざまなものを組み合わせて摂取することに意味があります。

また、どんなに野菜が健康によいといっても、例えば油をたっぷり使ったドレッシングや揚げ物ばかりになってしまうと、今度はコレステロールや中性脂肪の心配が出てきます。また、あまりに厳格に野菜だけに限定すると、場合によっては、今度はビタミンB12不足などになることがありますから、注意が必要です。

サプリメント

2005年はじめに、朝ごはん実行委員会[3]のアンケート結果が発表されていました。20代の独身女性約730人を対象に行なったもので、サプリメントの利用者は7割にものぼる一方で、朝食を毎日食べている人は51パーセントにとどまり、4年前のアンケートより減少している、ということでした。(図1、図2)

この結果を分析した専門家は、「サプリメントはあくまでも補助食品であり、しっかりした食生活があってこそ、補助食品の効果が生まれる」と、注意を呼びかけています。一見、サプリメント等は必要な成分を簡単に摂取することができるように思えますが、あくまでも補助的に用いるべき、ということです。

既知の栄養分については、サプリメントのような特定の成分を強化した食品で得られるかもしれません。でも、現代医学といえども健康や栄養についてすべてを解明できたわけではなく、まだまだわからない部分もたくさんあります。どんな「総合」ビタミン剤であっても必要なビタミンすべてを摂取できるわけではありません。

それだけではありません。食事を家族と摂ることは、特に幼少期においては健全な心身を育成し、生涯を通じて良好な食生活を実践する力を育む上で重要だと考えられています[4]。家族の団らんのためにも有用な時間であり、こうした意味合いからも、栄養はビタミン剤などのサプリメント等としてよりも通常の食事として摂る方がよいのです。

バランスのとれた栄養

前課でご紹介したように、セブンスデー・アドベンチスト教会(SDA)は、伝統的に菜食を推奨してきました。その信条によれば、「菜食は理想的なもの」であり、「規則正しく、単純で、調和のとれた食事」が必要であるといいます[5]

2000年に、厚生省(当時)が農林水産省、文部省(当時)と連携して「食生活指針」を発表しましたが[6]、その内容も規則正しく、バランスよく、野菜や果物を多めに摂ることなど同様の内容になっており、これらが現代に住む私たちの栄養を考える上で簡潔にポイントを押さえた原則であることがわかります。

いろいろな健康についての情報がありますが、これらのポイントをふまえているか、そうでないかがその情報をはかる1つの基準となります。そして、よい食事は健康づくりに必要な、非常に重要な第1歩です。ぜひ、皆様もこの第1歩を踏み出していただきたいものです。


[1] 『健康日本21』、各論1「栄養・食生活」

[2] Fruits & Veggie Matter

[3] 朝ごはん実行委員会ニュース14号

[4] 『健康日本21』、各論1「栄養・食生活」

[5] 『アドベンチストの信仰』、492-494ページ

[6] 『食生活指針』https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000128503.html

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