ヒップホップから神へ【聖書とポップミュージック】#2

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前回の話を読んでいない人は、ぜひ前回の記事からお読みください!

目次

ドワイトとの出会い

ある日、ドワイトという男にあったときから、僕たちの人生は変わりました。彼は、セブンスデー・アドベンチスト教会に出席していた過去のある男でした。

僕たちの近所にドワイトは住んでいて、僕たちの大ファンだったのです。いつもドワイトは僕たちのショーやライブに来ていて、演奏が始まると手をあげ、ノリノリでした。

あるとき、彼がドラックの売買で刑務所に入ったときは、僕たちが保釈金を払ったりもしていました。彼の中に神を信じる心があるとは、考えもつかない状況でした。

完全にドワイトは僕たちと同じ側の人間だったのです。刑務所を出てからは、彼はドラックを売るのをやめましたが、あいかわらず、僕たちと同じようにドラックを使っていました。

そんなドワイトが家に来るときは、いつもリビングルームで10人ほどの人たちがたむろしていて、タバコを吸い、ラップをし、自分たちのアルバムや音楽を聴いていました。

不思議なことに、まだドラックの影響が残るなか、必ず聖書を取り上げて読むのです。目を真っ赤に充血させながら、彼はダニエル書や黙示録、安息日、聖所などのメッセージを語り始めるのです。善と悪についての戦いについても語っていました。

どうして彼はそんなことを知っているだろうか、と不思議に思ったことを覚えています。そのとき、ドワイトはたった19歳でした。

クリスチャンラップグループの誕生

さて、そのころの音楽グループのほとんどは、自分たちを売り込むキャッチコピーや独自の戦略スタイルを持って活動していました。

たとえば、あるグループはギャングのイメージで売り込んでいたりしていましたが、僕たちのグループにはまだありませんでした。

そんなとき、ドワイトの聖書の話を聞いたのです。そして、彼の話を聞いている間に、あるアイディアが生まれました。

それが聖書や預言のメッセージを使って、クリスチャンラップグループにしたらどうだろうか、というアイディアだったのです。

やがて、ドワイトの聖書の話が黙示録14章にある「三天使の使命」にたどりつくと、「これだ!三天使の使命についてのラップにしよう!」というアイディアが生まれました。

他のグループは、恋愛やセックス、ドラックについてのラップで売り出していたので、差別化を図りたかったのです。

戦略はあたり、雑誌やテレビは僕たちを新しいスタイルのラップグループとして紹介してくれました。

それから、僕たちは天国やあたらしい世界、神についてのラップを書き始めたのです。他のアーティストが、僕たちの真似することもあったほどでした。

そのころ、僕たちのアルバムはまだ完成していませんでした。だからこそ、ドワイトの影響は大きいものだったのです。

神や天国、終わりの時代、預言について、ドワイトが語れば語るほど、僕たちは多くの歌をさらに完成させることができたからです。

「ドワイト、もっと語ってくれ!ほら、ここにドラックがあるから。もっと吸って、もっと話しな」

そんなことを言いながら、彼から話を僕たちは聞き出していきました。

「いいぜ」とドワイトは言って、ドラックを吸い込み、また聖書について語るのです。こうして、それらをもとに、僕たちは「獣の印」という楽曲をつくりあげました。

この「獣の印」は観客をはじめ、僕たちのお気に入りの楽曲になりました。

「どの曲が一番聞きたいか!」とライブで観客に聞くと、意味もわからずに、「獣の印!」とみんなが叫ぶのです。

聖霊の呼びかけ

やがて、しばらくすると、僕たちの心に聖霊が働きかけるようになりました。聖霊が心を探り、聖書についての深みを見せてくれるようになったのです。

次第に、自分たちの音楽に真摯に向き合うようになりました。ステージに上がる前やライブが始まる前に、僕たちは祈るようになりました。

「僕たちの父、天の父よ」と。

その僕たちの祈る姿を見た観客たちは、拍手喝采して、ラップをする前に祈るという新しい試みを喜びました。

それからさらに、僕の良心に強く、聖霊は訴えかけるようになりました。

僕たちがラップを通して、一所懸命、人々に訴えかけているのに、なぜメッセージが届かないのだろうか。そんな悩みにとらわれるようになったのです。

ライブでクリスチャンラップのメッセージを聞いたと思ったのに、その直後、観客たちはウィスキーを飲みながら、バカ騒ぎを続けるです。

「たった今、メッセージをこの人たちは聞いたばかりじゃないか!僕たちは神さまのためにやっているのに。僕たちはクリスチャンラップグループだ。なぜ、この人たちは答えてくれないのか」

そんなことを思いながら、ステージを下りたのを覚えています。

このクリスチャンラップで音楽業界にいたあいだ、神さまに僕が導いた人はたった一人でした。

彼女は雑誌の編集者で僕たちをインタビューした人でした。彼女はアドベンチストになったのです。2年間ラップをやって、たった一人の改心者でした

「僕たちの音楽を聴いていた人たちは、いったいどこにいったのだろうか? 彼らは教会に行っているのだろうか?」と考えることが、今でもときどきあります。

音楽業界は誘惑がとても多いです。

音楽業界を出ても、教会に残っている人をまだ僕は3人しか知りません。

だからこそ僕は、青年たちにサタンが用いる最大の武器は音楽だ、ということを伝えたいと思います。

大きくなる光

僕たちに、神は辛抱強く働きかけ、少しずつ真理の光を大きく見せてくださいました。そうして、ついに僕はドワイトに尋ねたのです。

「ドワイト、どうして君はこのメッセージに従っていないんだ?」

すると、彼は素直に答えてくれました。「実は、本当はアドベンチストを辞めたいんだよ。僕は」

しかし、彼がまいた種は、僕の中で力強く育っていました。このメッセージに従って、前に進みたいという思いが、湧き上がってきたのです。

さて、しばらくすると、レコード会社の社長が、僕たちのラップがちょっと説教くさくなっていることに気づきはじめました。

「いいか。君たちがセブンスデーなんちゃらという教会にハマったのはかまわない。ただ、レコードの売り上げは下がってきているんだ。神はいいもんだとわかってる。でも、売り上げを見てみろ」

彼は僕たちを呼んで言うと、こうアドバイスをしました。

「少し神から離れたメッセージ、こうもっと堕落しているものを、たとえばセックスとかドラックとかを歌詞に入れろ」

ライブの後に、聖書研究するほどになっていましたから、僕たちの悔い改めの気持ちはさらに大きく育っていました。

そのため、僕たちの中にあった悔い改めの思いが、神のメッセージを伝えるためのものであり、純粋なものであることを社長に伝えました。

同じように僕の兄も、歌詞の修正を拒否しました。神についてメッセージを語り、神についてのラップを演奏したかったのです。

そこで、レコード会社の社長とぶつかることになりました。音楽について衝突したのです。

しかし、このとき、僕たちはレコード会社と8年契約を結んでいました。これが罠だったのです。

安息日の葛藤

レコード会社の社長とは、安息日についても衝突しました。

聖書には、金曜日の夜から土曜日の夜までが安息日であり、礼拝日であると書かれていました。そこで金曜日の夜には、もうライブを行いたくなかったのです。

「金曜日の夜が一番、儲けが出るんだ!」と僕たちに対して訴訟をするほど、社長は怒りました。彼の指示に従わないならば、契約違反になるという訴えでした。

契約書にサインをしたときには、クリスチャンでありませんでした。ミュージシャンとしてのキャリアを積んでいる間に、クリスチャンになったのです。

そのとき、僕たちはとても難しい立場に置かれることになりました。

「祈ろう。この悔い改めの心は本物だから。金曜の夜にクラブに行っても、ここにいるべきではないと思うだけなんだから」とモンドに言ったことを覚えています。

ある金曜の夜のライブのあと、報酬に一人1000ドルもらったときに、その1000ドルを他のラッパーに渡したこともあります。

こんなお金などいらないと思ったのです。僕には1ドルも残りませんでした。

それほどまでに、神に従う悔い改めの心が強かったのです。

金曜の夜に働いたならば、そのお金は受け取らなくなりました。手持ちのお金は減りましたが、神に従うことにしたのです。

そして、ついに僕たちは集まって祈ることにしました。

「神よ、僕たちは安息日を知りませんでした。僕たちは無知だったのです。神よ、どうぞ、守ってください。8年契約が足かせになっています。神よ、どうか助けてください」

祈ってから2か月後、それは夏の初めごろでした。僕たちの雇い主であるペンドラム・レコードが倒産したのです。この会社は30年以上も実績があった会社でした。

祈ったあとにすぐ、実績のある会社が倒産してしまったのです。神が僕たちを招いているしるしだと、この出来事を僕たちは考えました。

神はどんな状況からも救い出すことができます。どんな敵からも救ってくださいます。

その後、僕たちは音楽業界を去り、教会に行くようになり、聖書研究に参加するようになりました。そして、4人全員がバプテスマを受けたのです。

もちろん、ドワイトにも教会に来るようにと誘いました。

しかし、残念なことにこのうちの2人は、1997年に教会を去り、音楽に戻ることを決心してしまいました。その後、彼らの生活はまた堕落し、罪へと転がり落ちていってしまったのです。

僕と兄は今でも、彼らがまた戻ってくるようにと祈り続けています。

たとえ改心をして強い意志を持って、そこから離れたとしても、ときに「本当に正しい選択をしたのだろうか」と不安になることが僕にもありました。

そんなとき、神はあらゆる方法で、僕が音楽の道を去るべきだった理由を見せてくれました。

音楽について、さらに多くの真理の光を示してくれるようになったのです。

終わりの時代に生きる青年たちを罠に陥れるために、悪魔は音楽を使います。

それはまるで、ブラックホールのように、罪の世界へと引きずり込む罠なのです。

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