コヘレトの言葉– tax –
老いたソロモンによる格言集
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太陽の下、新しいものは何ひとつない【コヘレトの言葉】#2
【この記事のテーマ】 こんな話が伝えられています。ギリシアの哲学者ディオゲネスがランプを持ってアテネの通りを歩いていました。目的は正直な男を捜し出すことでした。彼はやっと自分の目にかなう男を見つけ出しました。しかし、ディオゲネスは勘違いし... -
すべてに耳を傾けて得た結論【コヘレトの言葉】#13
【この記事のテーマ】 ロシアの作家アンドレイ・ビトフは自分の人生の転換点となった瞬間を次のように描写しています。「27歳のとき、私はレニングラードの地下鉄の中で、ひどい絶望感に襲われた。まるで人生が終わり、将来も生きる意味も完全に失われたか... -
風の道【コヘレトの言葉】#12
【この記事のテーマ】 古代ギリシア人は運命を信じていました。つまり、人の運命はあらかじめ神々によって決定されていて、その通りになる、と信じていました。この思想はホメーロスの『イーリアス』の中によく表されています。トロイの偉大な戦士ヘクトー... -
死んだ蠅と蛇使い【コヘレトの言葉】#11
【この記事のテーマ】 ここまで、コヘレトの言葉を読むかぎり、統一された思想の流れを認めることは困難なように思われます。これは、統一された思想がないという意味ではなく、統一された思想の流れを認めることが容易でないという意味です。つまり、体系... -
「何によらず手をつけたことは」【コヘレトの言葉】#10
【この記事のテーマ】 2004年のある日、70歳になるイタリア人男性が死亡しました。70歳のイタリア人が死ぬのは別に珍しいことではありませんが、問題はその死に方です。元農夫のアルド・ブサート氏は第一次世界大戦で使用されていた爆弾によって即死したの... -
鏡におぼろに映ったものを見る【コヘレトの言葉】#9
【この記事のテーマ】 コヘレト8章において、ソロモンは先に触れた多くの主題についてさらに探究しています。それらはやはり悲観論と不満で満ちています。しかし、「太陽の下」の人生は所詮、悲観的な要素で満ちたものです。 それでも、ほかの大部分の章と... -
神は人間をまっすぐに造られたか【コヘレトの言葉】#8
【この記事のテーマ】 オーストリアの詩人ライナー・リルケは、「少し噛んで、柔らかくした」パンの切れ端を小鳥にやっているパリの女たちにふれ、次のように言っています。「自分たちの唾が世の中に出ていくこと、小鳥たちがその唾を口に含んで飛び立って... -
「風を追うようなこと」【コヘレトの言葉】#7
【この記事のテーマ】 「さほどに高い精神を持っていなくても、この世にまことの永続的なる満足はないこと、あらゆる快楽はむなしいこと、不幸は無限であること、最後に、絶えず人をおびやかす死は幾年もたたぬうちに我々を、永遠に亡びるかそれとも幸福に... -
富める人、貧しい人【コヘレトの言葉】#6
【この記事のテーマ】 ロシアの作家レフ・トルストイは『人間にはどれだけの土地が必要か』という民話を書いています。百姓のパホームは、「土地がたっぷりあったら、わしはだれもこわくないぞ、たとえ悪魔だろうと!」と豪語します。ある日、彼は土地を安... -
太陽の下で生きる【コヘレトの言葉】#5
【この記事のテーマ】 今回の研究を始めるにあたって、ある興味深い点に気づくことでしょう。それは、聖書注解者が長年にわたって論じてきたことです。コヘレトの言葉は箴言とよく似ています。箴言は日常生活についての実際的な知識を扱った短い格言です。...
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